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6.3.2 曲線旋回性能の解析

 

(1) はじめに

1軸台車の曲線旋回性能を評価するために、マルチボディ・ダイナミクス・ソフトウエアA'GEMを用いた走行シミュレーションを昨年度に引き続いて行った。

昨年度の検討においては、1軸台車の走行性能自体が必ずしも明確にされていないため、シミュレーションによって、基本的な特性を把握するための解析を行い、軸箱支持剛性と枕ばね剛性の影響を中心にその概略を求めた。曲線旋回性能の指標として、輪軸の左右変位、アタックアングルおよび車輪に作用する横圧のみを用いてきた。

本年度は、曲線通過を想定した台上試験が実施されたため、主として、この試験との比較を念頭においた曲線旋回シミュレーションを行った。試験では、回転試験機によって回転する台車は1台車のみであり、台車の走行条件実験条件に合わせて計算することは多少の困難を伴う。そこで、来年度の本線走行試験へ結果が反映できることをも考慮して、台上試験に用いた1軸台車車両が1車両として曲線を走行した場合を想定したシミュレーションを行った。台車の支持剛性、枕ばねの条件は、台上試験と合わしてある。

 

(2) 解析車両と解析モデル

想定した車両は、台上試験に用いた車両をモデル化している。本年度の解析では、摩耗形状を模擬した円弧踏面、1435mmゲージ、新品50Nレールを想定している。台車のモデリングについては、昨年度のモデルと同一であり、ローリングの自由度および、牽引リンク機構についてリンクの運動自由度を考慮したモデルを採用している。

車輪とレールの接触モデルについては、カルカーの非線形クリープ力モデルであるFASTSIMのアルゴリズムを用いた。考慮した運動の自由度は以下のとおりであり、1両21自由度のモデルとした。

・ 輪軸:左右、ヨー×2

・ 台車枠:左右、ヨー、ローリング×2

・ 車体:左右、ヨー、ローリング

・ 牽引リンク:左右、ヨー、ピッチング、上下×2

 

(3) シミュレーション条件

曲線走行条件としては、均衡カントを想定し、実験にほぼ合わせて、半径150mから1200mまでの条件で計算を行った。

 

 

 

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