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この特性方程式について、A.H.Wickensの1輪軸の蛇行動安定性についての近似判別法を用いると、4次方程式が蛇行動が安定な2次式と安定判別が必要とする2次式の積に分解される。

(λ+η1)(λ+η2)(λ2+2η3λ+ν32)=0

左辺第3項の2次式について今年度の試作台車の諸元を用いて台車蛇行動限界速度を求めると次表の結果が求められた。

 

表1 台車蛇行動限界速度計算結果

 

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理論計算による台車蛇行動限界速度は牽引装置と進行方向により多少の(この場合約28km/h)差が生じている。即ち、台車枠/輪軸の重心が輪軸の重心よりも前方にあるとき台車蛇行動限界速度を高める効果があることを示している。台上試験で台車蛇行動が発生した限界速度と比較すると、試験番号L55、L57'の150km/hを除くと、台車蛇行動が発生した限界速度はType BとType Cと殆ど差がない結果となっている。しかし、Type Bでは多くの試験で限界速度が200km/hを越えていることから、台車蛇行動の限界速度は理論計算結果で得られたType Cより若干高くなる事を示しているとも考えられる。

この結果より、牽引装置が台車前方に有る場合、台車蛇行動の安定性についても有利であることが確認でき、台車の減衰装置が劣化しても実車走行上安全性に問題となることはないことが分かった。本報告では触れていないが、台車蛇行動の安定性を高めることは理論式から十分可能であり、これを用いて曲線走行性能をも考慮した最適条件の台車設計条件を導くことになる。

 

 

 

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