ピンジョイント方式は最も簡単で、これ迄の台車にも採用されているが、車体の上下動揺は台車枠の車軸中心まわりの傾きを、又車体の左右方向動揺は台車のヨーイング即ち蛇行を引き起し易いこと、又、ブレーキ作用時に台車枠の傾きからノーズダイヴを引き起す等の問題もあり、改善が望まれている。
これに対し、1本リンク式は、上記の不具合を解消出来る利点を持つが、車両の進行方向によって方向性が生じる点では、ピンジョイント方式と変らない。2本リンク式は、リンクを上下に2本配置することにより台車枠の車軸まわりの回転を防止することが出来るが、方向性については1本リンクと同様である。
Zリンク方式は、台車中央に配置出来れば、方向性の問題は解消するが、車軸の上に来るため、車体とのスペースの問題、又駆動装置との干渉等から、簡単には構成出来ない。
今回の試験台車には、敢えて方向性の影響を検証する目的で最も簡単な構造の1本リンク方式を採用した。
台車側のリンク支点は、ゴムブシュを介して台車枠に結合されるが、ボギー動きに対して回転自在なピン結合タイプと、ゴムブシュのこじり剛性が発生する剛結合タイプのいづれも取付可能とした。車体側支点は共に、ゴムのこじり剛性の発生する剛タイプで、車体下面から下ろしたリンク取付腕に支持される。
ブレーキ装置
保守作業の簡易化の見地から、制輪子の摩耗による車輪とのスキマを自動的に一定値に調整するユニットタイプの片押しブレーキを、コの字形台車枠の横ばり両隅部に取付けている。これは、コの字形台車枠側ばり先端部への配置も可能であるが、この場合には側ばり先端部の構造強化が必要となるほか、車体中央側下面のスペースを侵略することにもなる。
6.1.3 試験台車の強度
試験台車の台車枠に歪ゲージを貼付して、荷重作用部位に静荷重を負荷した際に発生する応力を測定した。
(1) 荷重方法及び荷重位置
1] 枕ばね座上下荷重
軸ばね座を軸ばねゴムを介して定盤に支持し、台車枠上面の左右枕ばね座に荷重枠を渡し、門型荷重試験機の油圧シリンダーにより、台車枠の両側枕ばね座に各々下記の上下荷重を負荷して、各部に発生する応力を測定する。
片側荷重 3.5tf、4.5tf、5.5tf
2] けん引装置座上下荷重(こじり荷重)
上記枕ばね座上下荷重片側4.5tfを負荷した状態で、台車枠に取りつけたけん引リンクの一端、車体取付部を、油圧ジャッキで定盤から上向きに荷重を負荷する。