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軸箱・軸箱支持機構

軸箱は、密封形軸受用の所謂ウイング・タイプで、軸受支持円筒部の前後に軸箱を摺動支持する台車枠のペデスタルが貫入し、更にその両外側に各1組の軸ばね用ゴムパッドを支持する座を有している。このウイングタイプのスリ板摺動式の軸箱支持方式は、同じスリ板方式で軸受直上に軸ばねを1組置く所謂たこ坊主式に比べて垂直荷重・水平荷重に対して安定で、台車枠を挟んでの車体下面迄の高さを低く構成することが出来、又、台車枠への輪軸の着脱は、ペデスタル下面に渡したタイバーのボルトを着脱するだけで、簡単に行うことが出来る。

摺動部分には、台車枠ペデスタル側に耐摩レジンスリ板を取りつけている。

台車枠

1軸台車用の台車枠は、通常の2軸ボギー台車用のH形台車枠の片側半分で足りることから、コの字形の溶接構造で構成することが出来る。

車体の垂直荷重を安定に支持するには、車軸を中心にして懸架することが必要で、側ばり上に車軸中心を挟んで前後に片側2組の金属コイルばねを配して2次懸荷を行っている。中央に片側1個のばねを置くよりも非対象の台車枠の保持に対して安定であると共に、ブレーキ装置からの反力による台車枠の傾きに対しても、これを軽減する効果を持つ。

更に、片側2組の金属コイルばねの間隔を、1次ばね(軸ばね)の中心に一致させることにより、車体の垂直荷重は2次ばねから1次ばねに直接伝えられ、曲げモーメントは台車枠に全く作用しない利点が得られる。従って、側ばりの断面を極力薄くすることが出来、台車枠の軽量化に役立っている。

左右の側ばりをつなぐ横ばりには鋼管を使用し、線路不整から生じる台車枠の捩れに対して応力集中の少ない構造としている。又、コの字形台車枠に生じる開き荷重-これは実際の走行では殆ど発生しないと予測されるが-に対しては、横ばりを側ばりに貫通させて接合し、応力集中をさける設計としている。

横ばり中央には、輪軸中心側下面にけん引リンクの台車枠側支点を設け、左右の側ばりとの接合部近くには、ユニットブレーキの取付座を設けているほか、車体に対して左右動きを規制するストッパー座、及び左右動ダンパーの取付座を設けている。

台車枠の重量は400kgであるが、これは更なる軽量化が可能と見られる。

懸架装置

1次ばね(軸ばね)は、ウイング形軸箱の前後に各1組の円形ゴムパッドを配し、1軸当り950kgf/mmの上下剛性を持ち、1両分8組の上下方向たわみ率は0.26mm/tfとかなり硬目に設定しているが、実用時には線路条件・走行条件に応じて柔らかい金属コイルばねの採用等の設計上の配慮が必要なことは云うまでもない。

 

 

 

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