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けん引装置

けん引装置は、最も簡単なモノ・リンク方式とし、台車枠側の支点をボギー中心とするが、このボギー中心まわりの回転剛性が、台車の走行安定性に及ぼす影響を調べるために、ピン方式の支点と、ゴムのこじり剛性を持たせる方式の両方が取付けられるようにした。

1軸台車では台車の中心は車軸中心に一致するので、ボギー中心は車軸の直上又は直下に設けることが好ましいが、現実には駆動装置等があるため実用的でない。従って、ボギー中心はこれを外した位置となり、車両の進行方向によって台車の走行安定に方向性が生じる懸念がある。試験台車では、この影響がどの程度存在するのかを確かめるために、敢えて非対象なけん引機構を採用することとした。

輪軸支持装置

輪軸支持装置は最もプリミティヴなペデスタルスリ板方式とした。これは輪軸の台車への組立・分解が最も簡単で、しかも1次ばねがたわみの少ないゴムばねとすることにより、摺動によるスリ板の損傷も少なくなり、保守上の問題も少ないと予想された。

ブレーキ装置

最も基礎的な踏面押し付け方式とし、自動スキマ調整機構を内蔵した踏面片押し式ユニット空気ブレーキを採用した。

 

6.1.2 試験台車の構造

 

輪軸

地方線区や第三セクターによる鉄道における使用、及び路面電車での使用を念頭に、更に将来的に本線での高速走行にも対応し得る走り装置として、車輪直径新製時762mm、摩耗限度時682mmの一体圧延車輪を採用した。

軌間は狭い方が小曲線の通過は容易となるが、標準軌の鉄道での走行に支障ないことを確かめるために、1,435mmの標準軌間用(バックゲージ1,360mm)を採用した。

曲線での通過性を向上させるためには、踏面形状は円弧とすることが望ましいが、普遍的に使用されている勾配1/20の円錐踏面を採用した。これは、台上回転試験の結果に対して、円弧踏面の有効踏面勾配変化による影響を排除して、台車の支持剛性の性能を明確に分離して評価出来ることも狙っている。

軸受は、110φ密封形複列円錐コロ軸受とし、軸受中心間隔は1,940mmである。

車軸は中央部直径167mmの附随車用車軸で、両軸端から車輪ボス部に、輪重・横圧測定歪ゲージ用のリード線穴を貫通している。車輪も、輪重・横圧測定のため、板部は垂直で、ゲージ貼付用の50φ穴を円周上に4個等分に配している。

 

 

 

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