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4. これらの社会的・経済的問題の専門家は、ILEP(世界救らい団体連合)の後援で、国際的、また国レベルの会合を定期的に開き、成功した活動企画について情報交換を行ったり、同様にハンセン病に取り組んでいる機関や、ハンセン病以外の問題に取り組む機関の専門家たちと、双方に関心の高い問題について共通理解を深めることによって、相互に影響し合うようにすること。

 

5. 実際に支援活動が実施されている地域において、回復者の社会的・経済的なニーズを調査し、あわせてこの問題を総合的に解決するための個人、地域社会、国家単位の資金を調査すること。またこれらの調査は、問題解決のために能率的で効果的な行動をとることを目的に行われること。

 

6. 回復者に、地域の人々と協力して自らの問題解決に取り組むための能力を与えられること。

 

委員会は、以下のような危険性を指摘する。

 

1. 医学的な決定に社会的・経済的な配慮が欠けること(たとえば、治療や手術、リハビリテーションのために長期入院させること、検査のために施設へ収容することなど)。

 

2. 目標の混乱。提案されたプログラムの恩恵を番こうむるのは誰か?施設か?それとも回復者か?回復者が、自分たちの必要からではなく、ある施設の成功実績を証明するために、施設に収容されている場合がある。

 

3. 地域社会ではなく、以前ハンセン病施設だった場所で、社会的・経済的プログラムを実施し、回復者を孤立させていること。

 

4. 過度の干渉主義。高齢者や重度の障害者には、干渉も必要である。しかし、それ以外の人々には過度の干渉は精神的にきわめて有害で、避けるべきである。同じような問題を抱えたハンセン病以外の人々に比べて、回復者に特別な恩恵(年金、住宅供給、交通手段など)を提供している国もある。このようなことで恨みや差別を生み出す可能性がある。

 

5. 搾取。回復者が行った作業に対して、正当な賃金が支払われない。これとは逆に、寄付を得るために、病気のイメージを必要以上に宣伝利用すること。これでは正常化は難しい。

 

6. 解決が個人のニーズに合っていないこと。人はそれぞれに違う。雇用されてうまく働ける人もあり、小規模でも自分で事業を起こしたい人もいる。協同作業を好む人も、保護作業場でこつこつ仕事をする人もいる。また、高齢や重度の障害のために、介護が必要な人もいるのである。

 

 

 

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