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3. マス・メディアの活用

マス・メディアは農村も都会も含めてその活動範囲をどんどん広げているが、ページ・画面・放送時間という限られた空間の中で、注文や要望に応じるために苦心している。当然ハンセン病も、その他多くの解決すべき問題と優先順位を競わなければならない。情報発信元が協力体制でなければならないのと同様に、NGOや政府、WHOなどの側の努力もまた必要である。最近行われた調査で、国際的な報道機関の発表は統計の数字ばかりのものか、内容の乏しいものが多いということが指摘された。政府からの情報は非常に政治的に取り扱われる。必要なのは、科学的で、真実で、読者の関心を引くような内容の話題である。この目的のために、私たちは、先に述べた三段階(メディア戦略、指導計画(オリエンテーション)、データバンク)を活用しなければならない。

 

4. 地域社会として取り組み

地域社会が取組めることは主として決定の分野だと思われる。ここで決定されたことが、回復者の将来に、そして経済・政治・社会構造の分野に関係してくる。回復者が意思決定に参加するためには、回復者の社会的な権限取得が不可欠である。地域社会の積極的な取組みの体制とその活動は、そこの住民の問題意識の持ち方に左右されることになる。問題意識とは、単に情報を収集するのではなく、社会的な活動を起こすにいたるような重大な問題意識を意味する。地域社会のヘルス・ワーカーの役割が変われば、彼らは、地域社会の組織化や、カウンセリングやコミュニケーションの基礎的な技能を習得する必要がある。そのためには、地域社会の参加また組織化のための研修プログラムのほかに、簡単なマニュアルを制作・普及という支援がなされなければならない。このマニュアルが、地域社会で実際に使用される前に、実地テストを行わなければならない。地域社会の活動はネットワーク作りも含み、それは地域レベルばかりではなく、国家レベルのネットワーク作りを意味する。このネットワーク作りは、ハンセン病や保健分野の組織にとどまらず、全国女性協議会や児童福祉協議会、社会保障協会などを含むすべての啓発的な組織と連携されることが必要とされる。このようなネットワークにより、考え方が修正され、ハンセン病と戦う最前線の活動の強化を促すことができるだろう。

 

S.D.ゴカーレ博士 

議長

ジュディス・ジャスティス

報告者

 

 

 

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