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障害の予防

 

議長:J.H.リチャーダス博士

 

討論した問題とその結論:

1. ハンセン病制圧におけるインペアメント(機能障害)とディスアビリティ(能力障害)の予防(POID)の位置づけ:

インペアメントとディスアビリティの予防は、ハンセン病と切っても切れない関係にある。患者の視点から見れば、インペアメントとディスアビリティはこの病気の本質をなすものといえる。そのため、ハンセン病制圧プログラムにインペアメントとディスアビリティの予防(POID)は欠かせない。プログラムが縦型でも、横型総合的でも、その他の形式であっても、これは欠かすことができない。患者の早期発見とMDTの実施がPOIDにまず必要であることは、周知の通りである。それでもなお多くの場合、神経機能障害とそれにともなう能力障害が致命的な問題になっているので、どのレベルでもこの点に取り組む必要がある。そのためには、POID活動をはっきり定義し、実行し、記録を残すべきである。また、適切な項目を定めて評価したり、適切な教材を準備して十分な人材を育成し、資源を供給しなければならない。

 

2. POIDの概念規定と共通の用語:

POIDを総合的に理解するためには、ハンセン病制圧のあらゆる領域を含めて考えなければならない。すなわち、早期発見、MDTの実施、神経の検査、神経機能のインペアメントの予防、形成手術、リハビリテーション、患者のおかれた社会的・経済的状況なども含めて考えるべきである。新しいICIFDH-2(世界保健機関では障害を、インペアメント〔機能障害〕、ディスアビリティ〔能力障害〕、ハンディキャップ〔社会的不利〕と使い分けて、国際的な分類法としている)に基づいた、共通の用語を使うことが勧告された。

 

3. 化学療法を始める時、および療法継続中のPOID:

神経機能の検査を行い、的確に記録しておかなければならない。国や地域によって、検査技術のレベルは、国や地域によってまちまちである。目的は神経組織が(それ以上)悪化するのを防ぐことである。そこで、ヘルスケアを担当するスタッフの意欲と個人的な関心の高さが不可欠となる。機械的なテストをした後で、適切な処置をとらなければ、テストの意義は半減してしまう。化学療法を始める前と終了後に、インペアメントの程度を査定しなければならない。報告の書類には、この査定結果を記録する欄が用意されている。特に、フィールド・コントロール・カードはPOIDに適切なものになるはずである。

 

最近の神経機能のインペアメントやらい反応は、可能なかぎりいつでもコルチコステロイドを使って治療している。プログラムの構成上、また質的にも条件が合えば、末端地域レベルにコルチコステロイドを配布することができる。それができない場合は、受け入れ施設がその役割をはたさなければならない。

 

 

 

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