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各種保虫宿主動物における日本住血吸虫感染率について、この2年間分(1997年度と1998年度)を合計した成績を表1に示した。2年間にわたる調査の結果、日本住血吸虫症の浸淫地であるフィリピン・オリエンタルミンドロ州のナウハン湖西岸地域においては、ヒト(小学校児童)の日本住血吸虫感染率が特に高かったMalaboにおいて、各種の保虫宿主動物の感染率も同様に高いことが示された。

 

表1 フィリピン・オリエンタルミンドロの3つの村落における小学校児童および各種保虫宿主動物の日本住血吸虫感染率(formalin-detergent法による検便)

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(1997年度および1998年度の合計)

 

本症の感染率を軽減するためには、感染源となる中間宿主貝を絶つことが基本となるが、それに加えて、住民が本症についての理解を深めて自らの感染を防ぐよう努めることも重要である。保虫宿主動物の感染率が依然として高いMalaboにおいても、本症に関する衛生教育活動をさらに推進してゆくことで、住民の感染率は軽減される余地があると考えられる。このことに関連して、本年度の調査では現地のSchistosomiasis Control Teamにテレビ・ビデオ器材一式および教育用ビデオテープ「SNAIL FEVER part I・II」を供与した。早速、San Pedro小学校の校庭にて上映したところ、教師や児童のみならず付近の住民も強い関心を示し、今後これらの供与器材が、衛生思想の普及に活用されることが期待された。

 

2. オリエンタルミンドロ州における小学校児童の血清疫学調査

 

本年度の調査では、昨年度のIgG抗体価検査で陰性を示した児童のみを対象とした。これによって、この1年間で日本住血吸虫に特異的な抗体価が、新たに陽性に転じた児童の割合を評価することを試みた。

 

 

 

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