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柴田/皆様、ご着席ください。それでは本日、最初のシンポジウムにはいらせていただきます。シンポジウムのテーマは「人工内耳の適用と課題」です。コーディネートいただく内藤先生は、さきほどご講演いただきました内藤泰先生です。よろしくお願いします。

 

内藤/マイクは入っておりますね。シンポジウムはこれから2時間です。順番といたしましてはまず、人工内耳の適応と課題、ということでこのシンポジウムの実行委員長で、京都大学で人工内耳の手術を受けていただいた山田武彦さんです。装用者からみた人工内耳ということで、25分位話していただき、そのあと、私が手術の実際的なことを、3番目に京都大学のリハビリを担当している、山口忍先生に、マッピングとか装用の実際をですね、まとめていただきます。そして皆様良くご存知の廣田教授に子供の難聴のリハビリテーションの考え方をお話いただきます。

 

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山口/人口内耳装用者として、どのように聞こえるのかということと、それから、全難聴の人工内耳を担当しているものして、感じている点をまず、報告させていただきたいと思います。私は京大で人工内耳手術を2年前に受けました。手術をする前は両方とも120デシベルで、ほとんど音は入って来ませんでした。今から30年以上前、ストレプトマイシンの副作用で1年くらいの間にほぼ聞こえなくなりました。さきほど、内藤先生の講演の中で、30年間以上の間、脳に音の機能が残っているという話がありましたが、私も実際に装用しましてそのように感じています。人工内耳をする前の様子は低音域の非常に小さな範囲でオージオグラムにグラフがかけるだけで、後は殆どスケールアウトの状態でした。

250とか500とかの周波数のヘルツのとこで少し線がひけるだけで健康な人に比べると、線の長さは10分の1位、線が下のほうに音が残っているという状況でした。後程、明日シンポジストをしていただく大山先生のところで、補聴器を何度も調整していただきました。国際大会に出た時に、アメリカで聴能訓練をしている方から、あなたでもリハビリに取り組めば補聴器で話せるようになりますと言われました。京都で訓練を熱心にしていらっしゃる大山先生のところで調整をやってもらいました。先生は、いくらかは役に立ちますと言っていただいたのですが、聞こえる範囲が非常に狭いために、いろんな音が自動販売機の音が、小さい音で「ピッ」となりますが、あの音と同じように、どのような音でも注意していてやっと「ピッ」と聞こえるだけでした。

この聞こえでは、オージオグラムの検査では音か刺激なのか、はっきりしない感じで、何か耳に感触がある時に、聞こえたとして合図をしていました。

 

 

 

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