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内藤/今のご質問は子供用のインプラントは大人と別に小さいのがあるかと。子供が大きくなっていった時に機械は成長しませんから大丈夫か?ということです。メーカは子供用は作っていません。大人と同じものを使用しています。内耳の大きさには問題ありません。ところが頭蓋骨はだいたい大人の大きさになるのは15歳から18歳、ですから2歳で手術をすれば、まったく同じところに固定していると、抜ける可能性があります。 人工内耳が抜けてしまわないように手術をする時に中にたるみをつくって入れている。 ですから抜けたという報告は今のところありません。現実問題としては大丈夫なので、 2才でも大人と同じものを入れていますが、本当はもっと小さいものがある方が、当然 いいと思います。これは、後ろのほうの業者の方にも言っておいてください。

京都の福山です。

先生の最後の方のスライドで聴覚野と視覚野が重なってしまう問題で、人工内耳を埋めると言葉が出ないということになってしまうのか、視覚と聴覚を分離しなくてはいけないと思うのですが・・・

内藤/理想は両方が円満に発達すること、視覚はもともと完全であるのが普通です。従って難聴者では聴覚に明かにハンディがあって視覚優位の発達になるのではないかと思います。小さい時には出来れば聴覚を活用することをより重視して教育していただくと、視覚の方はいいのですから側頭葉で円満に発達するのではないか。もちろん競合していても少しは活動している。機械では見えませんが人工内耳を使って、情報処理を側頭葉でもしていると思いますが強いものではないようです。生まれた時から人工内耳を使っている子どもだと、機械でもわかります。しかしこれらは日常生活や教育によって、いろんな例外があると思います。結論めいたことは少しのデータでは言えませんが、少しずつ、リハビリテーションの方針にフィードバックしていけば良いかと思います。

断定は残念ですが出来ません。

最後、3人目の方どうぞ

北海道から来ました、増子です。

今の方の質問とも関係あって、ちょっとずれてしまうかもしれませんが、聴覚野の発達はどのくらいか、10歳前後くらいで聞こえなくなり、それから失聴状態です。その後に人工内耳を入れましたがその時点で、人工内耳を入れた時に、聞こえてくるものはことばとして分かるように聴覚野が動いてくれるかどうか、聞きたいのですけれども。

内藤/とっても私どもが知りたい質問です。完全に成人してしまって、15歳〜18歳以降ですとこれは大人と同じと考えます。神経回路の柔軟性は非常に低下しています。逆にいうと、固定している。しかし一度獲得した聴力のネットワークは何十年たっても覚えている。成人で聞こえなくなって30年、全然聞こえなくて、それから人工内耳をした人でも十分な効果があります。

いったん自転車に乗れるようになると、何十年乗らなくてもちょっとすればすぐ乗れるようになるのと一緒。ところが低年齢になるといったん獲得した言語が崩壊する可能性もある。

先天聾の場合、5,6歳でずいぶん成績が悪くなります。それ以上の年齢の方でも効果は得られます。全く駄目ということではありませんけれども、3歳までに人工内耳をした人と6,7,8歳くらいで手術した患者さんでは、明らかにコトバの理解に大きな壁があります。年令に逆比例して脳は硬くなっていくので言葉を十分習得出来ない可能性があります。

効果は100%ではないかもしれません。

柴田/ありがとうございます。質問をこのまま受けたいんですが、時間の都合でこれで終わりにします。2時50分よりシンポジウムの方に入らせて貰います。

 

 

 

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