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(1)聴力検査

検査への協力を得られない幼児では、行動観察を総合して聴力域値を判定する。信頼のおける結果を得るまでには3〜4回の検査の反復を必要とする。また、幼児の認知発達に応じて検査方法を順次移行し、できるだけ早期に補聴器適合などに必要な聴覚情報を揃えるためにも検査の反復が重要である。また、補聴器を使用して環境音が耳に入るようになると子どもは音の世界の存在に気付き、傾聴態度や小さめの音に敏感な様子が見られる。そこで、聴力検査と補聴器適合を組み合わせた適合手順が有効である(表2,図2)。

 

表2 聴力検査と補聴器指導

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(2)耳型作成

小児では補聴器の脱落とハウリング(音響的フィードバック)を防ぐために耳型耳栓を作成する。耳型の採型では鼓膜を保護するために挿入する綿玉の位置や、印象剤の挿入法など採型者によって技術にばらつきがみられる。耳型ができて補聴器を使い始めるときには、ハウリングや耳型の脱落がないか、音響特性上の不都合がないかできあがりの評価が必要である。必要な補聴器の設定ができないときに耳型の修正・作り直しを補聴器販売店に依頼することが必要である。乳幼児では一般に外耳道が細く、外耳道容積が小さく、耳介が柔らかい。実際に開いている特性が成人と異なっている点について検討を要する。

(3)補聴器適合

乳幼児の補聴器適合の流れを図3に示した。

<仮調整>乳幼児では聴力レベルに応じて、成人の使用利得や不快域値の資料を参考にして調整を始める(表3)。初めて補聴器装着時には、耳型などのトラブルや聴力検査の信頼性の問題も考えられるので、目標レベルマイナス10dBに調整して装用を開始する。

この時期には家族が耳型の挿入方法や装着方法、管理などに慣れて装用時間を延長することが目標になる。リラックスした状況で手早く装着させ、玩具や戸外で遊ぶなど根気よく子どもの気分を紛らせながら一日一日と時間を延長することが得策である。

<再調整>補聴器装用の様子を家族から聴取し、使用上の問題を改善する。聴力検査の新たな資料に基づいて必要な修正を行い、目標とするレベルに順次、調整する。(表2)

乳児では外耳道容積が小さいので、個人差があるが0〜2歳児には3〜8dB成人より大きく鼓膜に達し、7歳くらいには成人と同程度になる点に注意を要する。耳型の音穴が1mmと細い場合には高周波数帯で8dB以上減衰されている側もあり、補聴器に耳型を接続した状態での測定や、可能であれば鼓膜面上での実耳音圧特性測定が望まれる。

 

 

 

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