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一方、デメリットとしては、その補聴器を調整するための専用プログラムとそれを動かすパソコンや、専用の調整器が必要となる点があげられます。しかし、この点に関しては、Hi-Proなどに代表されるように統一のコンピュータインターフェイスが作られていますので次第に改善されていくものと思われます。

また、これらの補聴器は、小さい入力音を目一杯強く増幅し、大きな入力音はわずかな増幅に押さえてしまうようなノンリニア増幅をすることができますので、音響情報を十分に活用できる80程度位までの聴力の人たちが対象になっているようです。その意味では、音響情報の受容に制限のある最重度の人に必ずしも対応できる訳ではありません。

これらの補聴器は、装用者の音の大きさの感覚を測定したデータに基づいて特性を設定する補聴器で、聴力レベルと不快レベルだけでなく音の大きさの細かい評価を要するものまであります。デジタル-アナログ方式(リサウンドED3,BT2,ダナサウンド他)のものからフルデジタル(センソ、デジフォーカス、プリズマ他)のものまであり、形状は耳あな形から耳かけ形、場合によってはポケット形のものまであります。いずれもノンリニア増幅-ラウドネス補償方式の補聴器です。

 

図9 デジタル補聴器の1例

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2)周波数圧縮変換型補聴器

重度以上の難聴の場合、補聴器では必ずしも十分な音情報が入らないことも多くあります。特に、高音域は、低音域ほど十分な残存聴力がないために、ハウリングやダイナミックレンジが十分には確保できず、十分な増幅が得られないことが多いと考えられます。こうした場合に、高音域の音響情報を低音域に周波数圧縮変換して、低音域の残存聴力を利用できるようにしたのが周波数圧縮変換型補聴器です。この考え方は従来からあったものですが、最近の音声処理技術の発展に伴って無声子音のような高い周波数成分からなる音が入って来たときの周波数圧縮処理と母音のような低い周波数成分からなる音が入ってきた時の圧縮率を変えられるものが登場してきました。こうした補聴器には、ポケット形のトランソニックやデジタリアンパル、耳かけ形のインパクトなどがあります。その外形を図10に動作の模式図を図11に示します。

 

 

 

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