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第5章 甑島地域における地域振興方策

 

前章では、九州内の離島地域の振興方策についての方向性を述べたが、ここでは甑島地域における地域振興方策について検討していく。

甑島地域の振興方策としては、他地域に比べて競合力がある程度見込まれる「水産業」と「観光」についてを検討するものとする。

 

第1節 水産業の振興方策

 

(1) 水産物のブランド化

 

甑島の基幹産業はいうまでもなく水産業である。特にキビナゴの産地として有名であり、一年中獲れることと近年の健康食品ブームから、大都市向けの積極的なマーケティング事業による販路拡大を図り、東京の外食産業に冷凍からあげとして出荷されている。

また、大分県の「関サバ」「関アジ」などにみられるように、水産物のブランド化においては、流通システムの高度化、高付加価値化を図ることが重要で、甑島ではキビナゴ以外の水産物及び水産加工物を含め、甑島ブランド化を押し進めることを振興方策の1つの柱とする。

 

(2) 作る漁業

 

甑島ではすでに実施されているが、真珠の養殖等これまでの「取る漁業から作り育てる漁業」への転換が今後も重要視されてくる。ただ、作り育てる技術があっても、その製品を市場に出荷し、一定の評価を受けられるシステムを構築しないかぎり、文字通り「宝の持ち腐れ」に終わってしまう。水産業は第1次産業と定義されているものの、ただ生産するだけではなく、これからは生産者みずからが製品の流通、販売を手がけていき、産業の高次化を図らなければならない。

 

(3) セールスプロモーション

 

水産物のブランド化、作り育てる漁業への転換などを第1次過程とするならば、次にこれを市場に出荷し、需要層に対する購買意欲を掘り起こすことが必要となってくる。つまり、製品の多角的セールスプロモートの確立である。

プロモートの手法として、郵便局のゆうパックを利用した全国消費者への提供、新聞、チラシなどによるDM、またはインターネットによる販路拡大など様々な手法が考えられる。

このような多角的なPRを行うとともに、水産業だけでなく流通、マーケティングに精通した人材の育成、確保することも重要である。

 

 

 

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