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第2節 海上交通体系の方向性

 

(1) 海上交通の現況

 

離島にとって、航路は住民の足として重要な役害」を果たしており、また、観光客のアクセス手段としても重要な位置づけにある。

九州内の離島航路数(全国フェリー・旅客船ガイド:1997年下期号による)は、83航路あり、そのうちの47%が20km未満の近距離航路である。これにより、航路所要時間は短く、船舶規模も小さい小型船が就航している。

 

(2) 離島振興・活性化のカギをにぎる海上交通体系

 

離島における海上交通はその隔絶性、孤立性からして、離島地域の振興・活性化のカギとなる重要なファクターである。このファクターをどのように位置づけ、どのように整備していくかによって、その地域全般の振興・活性化が左右されるといっても過言ではない。

離島航路の大きな問題として、運航本数の少なさ、所要時間の長さ、利用者の少なさなどがあげられるが、海上交通のみに依存する離島航路では、まず島民の生活航路として安全かつ快適な利便性に考慮した運航ダイヤの検討が必要となる。今もなお、1日1往復に満たない航路も存在していることや船舶のフェリー化、高速化がなされていない航路もある。

これらについて、航路事業者の経営努力、さらには行政・地域の支援等により、利用者の利便性に配慮した効率的な運航体系の整備を図っていくことが必要である。

また、観光振興の面からも、海洋性レジャー、多様化するレジャーニーズに対応したソフト、ハードー体的な整備と自然環境を活かしたウォーターフロント整備(マリーナ整備、フィッシャリーナ整備)等、観光客にとって『あきない観光』を目指していくべきである。

海上交通体系のみではなく、船舶の寄港する「港の整備」、さらには昨今のモータリゼーションの進展から、遅れがちな「島内交通基盤の整備」や「港までのアクセス交通体系の整備」も併せて検討する必要がある。

 

 

 

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