第2節 観光の振興方策
(1) 観光資源のメンテナンス
甑島にとってもう一つの基幹産業は観光産業である。自然環境に意まれ、環海性という好立地条件により、夏期の海水浴、マリンスポーツで甑島を訪れる観光客も少なくない。また、島内には里村の「甑島館」、下甑村の「竜宮の里」などの大型宿泊施設や様々な観光スポット、レクリエーション施設、遊覧船の就航など、立地特性を活かした施設もある程度整備されている。
しかし、観光客数は平成4年をピークに年々減少を続け、現在も低迷が続いている。この背景には全国的な景気の低迷などの諸条件があるものの、大きな問題として、甑島だけではなく全国的な魅力ある観光施設、スポットの欠乏にあると言える。
大規模テーマパーク(例えば東京ディズニーランドなど)をみると、一定期間を置いて新たなアトラクションを増設したり、季節ごとのイベントを実施するなどで集客を伸ばすといったマーケティングを実践している。ほとんどのテーマパークは一度足を運べば事は足りるし、同じものしかない所に2度、3度と出向く人は少ない。つまり、現在の観光資源(東京ディズニーランドであれば、都会の中の広大な土地と様々なアトラクション、スタッフのイベントの企画能力など)を随時メンテナンスをほどこし、観光客を集客できる仕組み、仕掛けを検討することがリピーターの増加を促すカンフル剤になるということである。観光資源はその地域の資産であり、資産はメンテナンスと運用方法によっては倍増も目減りもする。
(2)宿泊施設の充実
甑島にとって、観光資産の目減りを生じさせる要因の一つとして宿泊施設の未整備があげられる。甑島の観光客の平均滞在日数は1泊2日もしくは2泊3日であるが、それに見合うだけの魅力ある観光スポットが乏しいこととともに、甑島4村に十分な宿泊施設が均等に整備されていないという問題がある。
多様化する観光・レジャーニーズに対応できるハード、ソフト一体的な整備、更には、夏期集中型の観光からオールシーズン型への転換も求められる。
(3) 多角的な情報発信
観光客誘致に必須なのはPRである。一般的には「新聞、雑誌」や「テレビ、ラジオ」などの媒体を通じてのPRが主であるが、インターネットの普及に伴い「こしきホームページ」の開設による不特定多数への情報発信や「甑島体験ツアー」の懸賞コーナーの設置など、強力なPRも必要である。
また、博多駅の中央などで開催されている「サテライト物産展」などを通じて、福岡市、熊本市などの大都市市場の開拓につなげていくことも1つの方法であろう。