(3)EMC国際基準と我が国の対応
国内基準を国際基準と整合させる必要があるが論理的裏付けがない提案もある。国内規格の継続性も考慮した我が国への適合性を検討しながらの対応が必要である。
6. 船舶におけるEMC
6.1 船舶の環境条件とEMC
船舶という環境を考慮した的確なEMC対策を検討し、効果の上がる「船舶におけるEMC対策」の調査検討を進める。
陸上で使用されることが多い一般の機器に対するEMCの要求に対して、船舶は陸上とは異なった環境にある。
船舶における環境とは、
・狭いスペースの中に凝縮されるように多数の機器が配置されること。
・部屋は鉄板で仕切られた状況にあること。
・多数の電線類がまとめられ、東ねられて配線されていること。
・船内に設置された発電機から電力の供給を受けること。
・市街地や工場プラントなどからは遠く、船外から入る干渉は少ないこと。
・船から発生させる最大の電磁妨害は無線通信装置であること。
・温度の変化範囲は通常の機器の使用に比較して広範囲にわたること。
・湿度についても露点に達することもある。
・塩分を含む風の侵入があること。
・振動や揺れが常時ある環境であること。
などがあげられる。
これらの状況に関する環境条件や船舶に関する要求事項等は、「付属書A(規定)IMO決議A694(17)1991年11月6日採択、GMDSSの一部を構成する船上搭載無線装置および電波航海標識の一般的要求事項に関する勧告」の付属書B「船にとっての環境条件」および付属書C「船舶に対するEMC要求事項」にあげられているので参照されたい。
船舶に搭載される機器、その組み合わせや配置等には、ある種のパターンがある。本調査研究においても、船舶に搭載される機器について4種類の機器を選定し調査と対策を研究しているが、これらの機器の組み合わせに関して総てを網羅して調査することは不可能である。
その方策として、
(1)個々の機器の特性を調査してデー夕を整える。
(2)一般的な配置例における実際の船舶における環境での測定を実施する。
(3)その測定結果と個々の機器に関する測定データと実際の船舶における環境での測定を比較検討する。
(4)比較検討結果を解析することにより、機器配置の設計段階で電磁環境の評価と対策の検討と実施を行う。