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2-4-2. 本試験

 

2-4-2-1. 方法

1. 容器及び試料を試料の管理温度まで加温する。

2. 試料を容器に充填し容器を支柱に保持する。

3. 熱電対を前記2-1.に示した如くセットし、試験装置を完成させる。

4. 測定容器上部に火炎長2〜3cmのトーチバーナーを近づけ試料に点火する。

5. 各測定点での試料温度の変化を温度記録計で、また反応の状態はVTRにより観測する。

6. 上記より、以下の二つの測定方法を行い各々データを採取する。

「目視測定」:燃焼面の移動を目視で観測し、マーキング間の移動時間をストップウォッチにより直接計測する方法

「熱電対測定」:熱電対によってマーキング位置での温度を記録し、各々の位置での最高温度上昇勾配発生時の時間差から間接的に移動時間を計測する方法

 

2-4-2-2. 結果

結果を表2に示しました。 今回行った測定では、容器による差が燃焼速度にはっきりと現れ、デュワー瓶容器の依存性が大きいことが示されました。しかし、「デュワー瓶大」の測定結果と「デュワー瓶中」の測定結果とは比較的良い一致を示し、試験容器小型化(試験試料の低減化)への可能性を得ることができました。

また、試料の性状と測定方法に関して以下の知見を得ました。

1) 液体試料に関しては、「目視測定」と「熱電対測定」では、その測定方法による差が認められなかった。 また、繰返しによる測定間のばらつきも類似した結果となりました。(図1:液体試料の測定法間相関性)

2) 固体(粉体)試料に関しては、「目視測定」と「熱電対測定」では、測定方法によって大きな差を生じた試料もありましたが、両測定方法共に同様の結果を示しました。この差は特に固形不活性化剤を添加した試料に顕著で、「目視法」による燃焼面の観測が、残存する固形物によって妨害される為であると考えます。この他、どちらの測定方法でも繰返しによる測定間のばらつきが大きく、測定方法と共に試料の充填の問題が大きく示される結果となりました。(図2: 粉体試料の測定法間相関性)

3) 固体試料のうち融点の低い試料については、上部燃焼域からの輻射熱等によって未反応試料が融解し、燃焼面が規定の位置に到達する以前に試料面が規定位置以下に沈降してしまう現象が観られ、今回の試験では有効なデータを採取できませんでした。この現象は、本デフラグレーション試験方法(上部着火法)の持つ本質的問題であると考えられます。このような試料に対しては、予め融解した試料を容器に充填するのが定法ですが、SRS/POの場合は熱分解を生じる可能性が高く、当該試料の分解開始温度との関係で簡単に解決できる問題ではありません。本現象に関する議論は重要なことであると考えますが対象物質もあまり多くないため、現象のみの記述といたします。これについての議論は別の機会で必要と考えます。

 

 

 

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