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工業化の過程で発生する都市への移住によって、農村社会の伝統的な家族制度は次第に崩壊され、核家族化の進展を招いた。このような変化は、世帯員数の多い直系家族制より夫婦家族制の方が都市工業化社会においてその適合性が高いからである。世帯員数の少ない核家族制は移住にも柔軟性があり、いかなる変化にも対応しやすいからである。表6の家族類型別構成の変化を見てみると、核家族が継続的に増加していることがわかる。

 

表6 家族類型別構成

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1980年代後半に至っては、それまでの中央集権制から地方自治制へと移行することになり、これまで見られたソウルへの経済力の偏重及び高密度社会化は、地方分権化に伴う地方都市及び地域社会の開発や首都圏への人口集中の緩和へと推進されている。

 

3. 主要都市の人口高齢化

 

短期間に行われた人口転換の結果、韓国の人口高齢化は漸次的に加速化することが予想される。1995年現在、人口高齢率は総人口の6%であるが、1999年には7%、すなわち国運が定める高齢化社会へ突入することになり、2025年には14%に達すると推計される。

主要都市の人口高齢化率は、現在5%レベルに止まっているが、2025年には10%を上回ると予想されている。さらに、郡部の場合は、現在の8〜10%水準から2025年には大部分の地域で高齢化率が20%近い高齢社会が実現するであろうと考えられる(表7参照)。

韓国社会は伝統的に直系家族の形態が制度化されている。しかしながら、産業化・都市化が進行している現代社会においては、直系家族の形態を維持するのは現実的に困難な場合が多い。そして、就業チャンスを求めて大量の人口が農村から都市へ移住したり、仕事上の理由によって多くの人々が居住地を移動するようになるが、その都度家族が一緒に移

 

 

 

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