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動することは困難である。このような場合、親は農村に居残るか、または、それまで住んでいた場所において別居の形でそのまま住み続けることになる。その分、拡大家族の割合は次第に減少するようになる。また、直系家族の形態のまま暮らすことがお互いにとって不便に思われ、親世代と子世代が分家、別居する場合が多い。世帯の世代類型別構成を参考に韓国社会における家族形態の変化を類推することが出来よう。

 

表7 地域別高齢化率の推計(1995〜2035)

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三世代以上の世帯は、拡大家族である直系家族の形態を成している家族とみなすことが出来るが、地域別に世代類型別構成を見てみると、直系家族の形態である世帯の割合は、都市より農村地域においてより高く現れていることがわかる。典型的な核家族の形態として考えられる二世代がもっとも高い割合を占めている。そして地域別に見ても、充分予想されるように、農村より都市でその割合がより高く現れる。そして、都市と農村において、ともに直系家族型の世代割合が減少しつつあるが、これを核家族化の傾向として捉えることは難しいところがある。なぜならば、次に見るように、一世代世帯の増加は高齢者世帯の増加に起因すると考えられるからである。

韓国の家族形態に見られる変化の中でもっとも注目される部分は、一世代世帯と単独世帯に見られる変化である。一世代世帯の構成割合は増加傾向を見せており、とくに都市より農村においてその傾向が著しく見られる。一世代世帯は主に夫婦だけで構成される世帯であり、新婚夫婦と老年夫婦がその大半を占めている。新婚夫婦の場合は、この先典型的な核家族の形態となるであろうと考えられるが、高齢夫婦は依然として一世代世帯のままに残ることになる。すなわち、一世代世帯の増加は、主に高齢夫婦だけの世帯が増加することに起因するものと考えられる。

 

 

 

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