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 研究結果
 1.対象者の身体特性と体力診断バッテリーテストの特徴
 表1には、年齢、体格および片足立ちテストを除く体カテストの成績 を男女別年齢階級別(10歳間隔)の平均値とSDおよび各変数の年齢との相関ならびにそれぞれの検定結果と男女差の検定結果 を併記した。
 対象者の体格は年齢が高くなるほど小柄となり、男性では体重、女性では身長と体重において年齢との関連が有意であった。 また、身長、体重ともに男性が女性より高値で有意な性差が認められた。一方、平衡性を除く本対象者の体力値は加齢に伴って低 下しており、男性では垂直跳びに、女性では体前屈以外の項目全てにおいて有意な負の年齢との相関が認められた。また性差は 体前屈、垂直跳び、握力、息こらえに認められ、体前屈では女性が、他の項目では男性が高値を示した。

 2.対象者の平衡機能および歩行能
 表2には、平衡性指標として採用した開眼、閉眼の両片足立ちテストの結果と重心動揺計を用いた各パラメーターの成績、およ び最速歩行と自由歩行における歩幅、速度、歩調の成績を表1と同様に示した。
 片足立ちテストの成績は、開眼、閉眼とも、他の体力要素と同様、加齢とともに有意に減少するが、性差は認められなかった。一 方、重心動揺パラメーターでは、分散分析、あるいは年齢との相関から、軌跡長についてはこれまでの報告8,18,21,24)と同様、加齢 による有意な増加が認められた。また、安楽立位での重心位置(G%)は加齢により前方(指側)に移行する傾向を示し、男性の年齢群 間差が有意であった。直立位から重心位置を最大限前方向にシフトさせたA-C%および最大限後方向にシフトさせたC-P%、およ びこの前方と後方の和であるA-P%は、分散分析の結果、年齢との相関の両者、あるいはいずれかで統計的な有意性が認められ、随 意的にシフトできる重心の移動距離は年齢とともに減少した。重心動揺パラメーターでの有意な性差は閉眼時の軌跡長に認めら れ、男性が女性に比して高値であった。
 歩行能に関しては、歩幅、速度が、自由歩行、最速歩行ともに年齢に伴って明らかな低下を示し、分散分析の結果および年齢との 相関が有意であった。しかし、歩調に関してはいずれの歩行でも男女とも年齢との関連は認められなかった。性差は、最速歩行、自 由歩行ともに歩幅と歩調に認められ、歩幅は男性が、歩調は女性が大きい値を示した。

表1 対象者の年齢、体格および体力


表2 対象者の平衡性指標と歩行テストの成績



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