一方,宗教というのは意識的にそれを外に向けて表現するものといえましょう。ですから,緩和ケアにおいてはその両方の面を必要とします。
また,コミュニケーションの問題に戻ってお話しします。コミュニケーションを訓練する効果的な方法は,経験的にいって,教室の中で正解を求めるような質問のしかたではなく,ロールプレイが必要だということです。みなさんは嫌いかもしれませんが,その学習効果は高いと思います。私たちはロールプレイをいろいろなセッティングでくり返し行っています。とても役に立ちます。緩和ケアチームの中でも,たとえば一人が訪問先でひどい経験をしてきたような場合に,彼女が帰ってきたらその場面を生かしたロールプレイをしたりします。
時間をかけてどういう経験をしてきたのか互いにわかりあうことが必要です。正解ということはないし,簡単に出る答えはないかもしれませんが,最終的には患者さんの痛みを自分で共有する勇気が自分にあるかないかの問題になるかと思います。ビデオを用いてフィードバックに生かすということも重要な方法論です。ロールプレイをする場合などはビデオにとっておくことです。
それから言いたくないこと,怖くて言えないことを言うこともやっておく,それから,言葉にならないノンバーバルなコミュニケーションの重要性というものも考慮に入れなければなりません。
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