日本財団 図書館


 教育の原則は,その人の職種に関連づけてされると身につくということ,そして人に言われたことよりも,その人が言ったことのほうが身につくということを覚えてほしいと思います。

医学生の学ぶべきこと

 私は,医学生には以下の三つのことを教えることができればよいのではないかと思っています。
 第1は,緩和ケアの基本スキルを教えるということです。それは症状管理とコミュニケーションスキルです。
 第2は,患者の紹介です。これもスキルの1つだと思います。どういうサービスがあるのか,どこへ紹介したらよいのか。
 第3は,医学生に教えたいのはその人の身体的状況だけをみるのではなく,全人的にみるということです。
 こういうことを考えると,やはりプロジェクト方式か,あるいはその学生を手とり足とり教えるということになると思います。
 学部で霊的なことや宗教についての教育をどうするかですが,緩和ケアに携わるわれわれとしては,ほかの宗教を知るということも必要だと思います。少なくとも英国ではさまざまの宗教をもっている人たちを扱わなくてはならないのです。宗教を知るということと同時に,他の文化とはどういうものかを知ることも必要です。そうすれば,そういう背景をもった患者さんのニーズは何か,欲求は何なのかも知ることができます。
 霊的な面と宗教の違いは何かと問われれば,霊的な側面というのは自己の存在に対する追求といういい方ができます。いま起こっていることは自分にとってどういう意味があるのかを自分に問う。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION