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チームがうまくいかないケースではリーダーがいないということがよくその原因になります。しかし,リーダーがいればいいというだけではなく,権威と責任の両方を兼ね備えた人でなければリーダーとはいえません。ジョアン・アデアというマネジメントのコンサルタントは,よいチームワークというのは決して偶然できるものではなく,よいリーダーシップの副産物であると言っています。彼女によれば,リーダーたる者には三つの重要な責任があるといいます。
 まず,1)目標を設定する,2)チームをつくってそれを維持する,3)チームのメンバー個人の育成に努めるということです。
 目標の設定をするということについては,あなたのカバーしている地域のがん患者の何パーセントにアプローチするのを目標とするのか。それから達成したいサービスの程度をどこに設定するのか。紹介されたらどれだけの時間でその患者さんに会いに行くのか。自分がやるべきことをやっているかどうかという判断はどうするのか。そういう目標や基準を設定します。そしてこれは現実的に実践できるものでなければなりません。そうでなければ,額に入れて壁に飾っておくしかないわけです。年に一度は病院や施設を離れて,チームだけで一日を過ごすことをやって,チームとしてうまく仕事ができただろうかとか,チームとして何をやるべきかということを前向きにとらえるディスカッションをすることもあります。そして,その目標を達成したとどうやって判断するのか,自分たちのチームとしてうまく機能したという判断はどうしてできるのだろうかということも討議します。
 チームとして時間をかけてやったディスカッションでは,完壁でなければいけないのか,それともある程度こなせばそれでよしとするのか。これはホスピス緩和ケアの運動においては重要なポイントだと思います。頼まれればノーとは言えない,常にやらなければいけないと自分を責めがちです。

 

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