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緩和ケアの運動を始めた方々は,よろず屋というか何でもやるような人たちでした。私が属しているセント・クリストファーズ・ホスピス所長のソンダース先生は医師であり看護婦であり,またソーシャルワーカーですからお一人でマルチメンバーチームを形成しています。

チームスピリットの形成

 チームスピリットはどう醸成したらよいでしょうか。チームの中で本音を言い合える場所がつくれるのか。医師やソーシャルワーカーもいるようなチームの中で,新参のナースが自信をもって発言できるような雰囲気があるかどうか。そのチームスピリットをつくる責任はリーダーだけではなく,それぞれが責任をもっています。めいめい自分の役割をしっかり知って,それに自信を持つことです。そして,チームの中で自分がそのプロフェッションを代表している唯一の人である場合は,とくに自分の役割を認識することが大切だと思います。
 自分の役割を知っているばかりでなく,チームメンバーのそれぞれの役割を知っていて,それを尊重するということも大切なことです。自分はこれが得意ということも言える場でなければいけないと同時に,私はこの点が苦手だということも自由に言える場でなければいけないわけです。
 昨年の夏,30年勤務して退職した医師がおられました。私がとても感動したのは,最後の外来での朝のミーティングで,前日の患者さんを誤診してしまったと彼女自身の口からおっしゃったのです。臨床医としては名も高いし,30年のキャリアを持った方が率直にそういうことを言われた。そういう医師であっても自分の失敗について語れるわけですから,ほかのメンバーは自分が過ちをおかしたときも,素直にそれをみんなの前で言えるでしょう。

 

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