日本財団 図書館


 医師は,組織に対してというよりも,患者や家族に対しての責任が非常に大きくなってきます。というのも,患者,家族に対してきちんとした仕事をしていかないと,訴訟に至るおそれがあるからです。ソーシャルワーカーは行政的な機構に対してより責任をもつ傾向があります。それからチャプレンはもちろん神様に対して責任を負わなければならないと思っています。
 ナースは,全体のコーディネーターの役割を果たすようなトレーニングを受けています。ナースは家族全体について情報を持っています。医師の場合には,問題解決型のトレーニングを受けている,つまり非常に的を絞ったトレーニングを受けていると思います。それからソーシャルワーカーは大局的な見地から物事を見るようなトレーニングを受けています。家族,患者ということにとどまらず,たとえばその権利は何であるかといったことも視野に入れています。また,チャプレンは魂のスペシャリストとしてのトレーニングを受けています。
 このようにそれぞれの分野で規定,規則があって,それは定款などによって定められています。
 これらの人たちはプレッシャーを受けた場合,どのような行動を起こすのでしょうか。こういう見方もあるということで,聞いていただければと思います。
 まずプレッシャーの下ではナースは責任転嫁をするというか,自分では責任を負わないで,ほかの人の責任だというような傾向があります。医師はプレッシャーがきつくなっていくと,独裁的になります。ソーシャルワーカーの場合には,権利ということに躍起になって,平等の機会というようなことを声高に言うようになります。チャプレンは神秘主義に身を隠すようになってしまいます。チャプレンはカルテの中にはいろいろな書き込みは一切しません。

 

前ページ    目次へ    次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION