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4. 農林業振興への貢献

 

(1)農家との連携事業

 

●寄居町の農業従事者の平均年齢は65才になっているといわれ、後継者問題が大きなテーマになってきている。後継者が現れなければ、寄居町の農業を守ることができず、耕作放棄地の増加や農地転用による開発が進み、寄居町の里山の自然が消滅しかねない。農業従事者がリタイアするまであと数年の余裕しかない状況下にあり、効果的な農業振興策が求められている。

 

●後継者が現れないのは、端的には会社勤めの方が農業よりも魅力的だからである。逆にいえば、農業を会社勤めよりも魅力のあるものにすれば、後継者は現れるわけである。当会ができる農林業振興への貢献は、この魅力づくりのためのいろいろなアイディアやサービスを提供していくことであり、ここでは、「都市と農村との交流事業」、「援農交際事業」、「農産物販売事業」についてとりあげる。

 

1]都市と農村との交流事業(アーディズリー村方式)

 

ア. 事業の考え方

 

●イギリスのアーディズリー村では、都市から移住した元校長の発案で農村ホリディー事業を起こし、成功をおさめた。その成功の秘訣は、元校長のアイディア力にある。彼は、住民と来訪者とのコーディネーターとなって、彼の目で地域資源(美しい自然、歴史、味覚、人材)を発掘し、それを来訪者に案内して回りながら、この村の魅力を直接伝えるとともに、一方、住民に対しては観光客へのサービス方法についてコンサルタントをするというものであった。将にこの元校長は、いわばイギリス版“花咲爺さん”を演じたのである。この事業の秘訣は、何よりもまず、こうした人材がいるかどうかにかかっている。

 

●この事業は短期間で軌道にのるものではなく、アーディズリー村のようにじっくりと住民同士が話し合い、皆が事業を理解するための時間が必要である。同村のように軌道に乗るまでにはおよそ7、8年はかかることも覚悟しておかなければならない。

 

 

 

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