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6.2.4 今後の課題、方向性

 

?長周期波の波向

自由進行長波としての長周期波は、波向を想定することが可能と考えられる、通常の平均波向またはピーク波向を求めることはできるが、拘束波としての長周期波については波向を算定することが困難と考えられる。

 

?港外の長周期波と港内の長周期波の関係

今回解析の対象となった波浪観測地点は、アシカ島と港研を除いて大水深の地点が大半であるが、船体動揺が問題となるバースは港内の水深が浅い海域にある。船体動揺シミュレーションを行う場合、バース付近の波浪条件を入力条件として設定する必要があるが、ここで問題となるのが、港外で観測された長周期波が港内に進入した場合に、どのように変化するのか、その関係が不明である点である。最近の事例では港外の観測長周期波をそのまま与えることが多いが、この方法でよいかどうか波浪の実測値によって検証する必要がある。

 

?長周期波の予測

苫小牧港で長周期波の予測システムを検討した渥美ら(1997)の報告によれば、苫小牧港の予測式はHL=0.012H1/3・T1/3と、波高と周期のみから算定する手法を採用している。第4章の解析結果によれば、全周波数帯の波浪エネルギーm0と周期30秒以上の長周期波成分の波浪エネルギーm0Lには強い相関性が認められ、苫小牧港の予測式と併せると、概略的には有義波高・周期値か周波数スペクトルの予測値から長周期波エネルギーを予測することが可能であると考えられる。

しかし細かくみれば、m0とm0Lはピークが相互にずれる等の相違も見られ、精度良い予測を行うためには、長周期波が発生、伝搬し、浅海域に入った場合の挙動と、その時のm0L等の長周期波パラメーターの変化を正確に関連付けられるようにすることが必要と考えられる。

 

 

 

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