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苓北港1件のみ。回答でも、強風を主因とし、荷役中断を行っている。船体動揺は起きていない。ただし、m0Lの判断を伊王島に求めたが、それが適切であったかどうか。

・「うねり」のみによるもの

仙台新港の3件。しかし、これは定義によって仕分けられたものである。回答では、老朽テールロープの切断(1件)、津波警報に応じての緊急離桟としている。

・長周期波のみによるもの

この判別方法では、該当例が無い。

・「うねり」と長周期波のみによっておこるもの

当該港の沖合が比較的穏やかであるにもかかわらず、「うねり」と長周期波によって障害が生じるケースである。翌数日以内にm0Lが基準を越えるケースを含めると、10港(釧路、十勝、苫小牧〔塩釜、広野、鹿島、御坊、下津、細島、志布志港)で、25件(56%)も発生している。さらに、風力2以下の静穏時にもかかわらず発生しているケースが、6港(苫小牧、塩釜、広野、鹿島、細島、志布忘港)で15件(33%)もあり、中でも細島港の7件が顕著である。

このケースの殆どは、暖候期における遠隔地の台風の影響によるものであり、北海道から九州に至る大平洋沿岸に遍く発生している。今回の報告では該当しないが、沖縄の太平洋岸も同様であろう。

台風以外の要因として、冬型(十勝港、2/7)、寒冷低気圧(苫小牧港、5/24)、千島東の低気圧(鹿島港、3/7)、オホーツク低気圧(同、4/2)がある。

アンケートでは、障害の原因として、?うねり・長周期波のみの回答が多く(21件)、次いで?高波浪のみ(6件)であり、強風は付随的な1件にすぎず、この解析を裏付けている。

この要因によって、殆どの港で様々な船体動揺が記録され、障害(船体損傷、係留索切断、荷役の中断または延期、緊急離桟、港外待機)が生じている。なお、これらの動揺と障害は、2百トンから24万トンの船舶に認められ、特定の大きさに限定されていない。

・強風、高波浪、うねり、長周期波の全てが連動しているもの

日本海側の5港(能代、秋田、新潟西、敦賀(松浦港)、8件(18%)が典型的であり、西高 東低の強い冬型気圧配置において、強風の連吹によって生じるものである。

今回は解析していないが、日本海側の他の各港も同様と思われる。

台風が非常に接近(細島港、10/23)したり、直撃(具志川バース、8/10)すると、同様に4要因の全てが連動する。

苫小牧のケースは、記録期間が長期にわたっているので(9/19〜24)、すべての要因が当てはまったものである。実際には前ケースに相当しよう。

回答では、高波浪、うねり・長周期波・強風がまんべん無く記されている。各種の船体動揺と障害が生じている状況は、前ケースと同様である。

・原因を特定できないもの

七尾港(4/27)は局地的強風現象か。

細島港(6/22)至近の梅雨前線の影響かもしれない。

 

 

 

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