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4.3.5 港湾の障害事例に関連する気象海象

 

アンケート調査に回答頂いたように、各地で気象・海象による係留・荷役の障害が生じている。無論、障害が皆無に近い港もあるが。ここでは、それらの障害が気象・海象の何に起因しているかを、できるだけ客観的な解析を試みてみた。無論、各港湾の立地条件や構造を熟知していないので、波浪や風が具体的にどのように港や船舶にインパクトを与えるかについては考慮していない。あくまで総観的な気象・海象条件を根拠とした。

各港湾の固有性・局地性もあるので、回答頂いた貴重な情報による実態とこの解析結果に食い違いが生じているが、「可能性」としてご理解を頂きたい。

 

1)解析方法

・障害等の起因要素を強風、高波浪(風浪)、うねり、長周期波に限った。

・平成8年分の障害事例を対象とした。

・風向:16方位とし、総観規模の天気図から読みとった。局地風は無視している。

・風力:ビューフォす卜風力階級で表現した。表中の値は陸上の観測値なので、港内及び沖合では、風向と立地条件に応じて1ランク以上の差異が生じるとおもわれる。

・波浪及び長周期波データ:できるだけ至近のナウファスの観測値を用いた。欠測や計算値が欠の場合は、以遠であるが立地条件が大局的に近似している観測点を代用した。沖合と港内とでは諸条件が異なるので、このまま適用・対比することに疑問が残るが(6.2.4を参照)、敢えてこの様にした。

・障害要素の定義

強風:風力3以上で、沖から吹いてくるケース。

高波浪・うねり・長周期波の判別は、特に港内では至難であるが、次のような基準でおこなった。

高波浪(風浪):強風時(前項条件)に有義波が3m以上のケース。

うねり:有義波周期が8秒以上のケース。

長周期波:近接港で長周期はエネルギー(log10m0L)が-3以上に計算されたケース。

静穏下(風力2以下)で発生した場合には◎を記す。

当日は-3以下でも、翌数日以内に顕著なm0Lが出現していれば△を記す。

 

2)整理・解析結果(表4-3)

平成8年に気象・海象による係留・荷役障害が報告されたものは、日本海側で6港(能代港〜松浦港)・9件、東シナ海側で1港(苓北港)・2件、太平洋側で12港(釧路港〜具志川バース)・34件であり、合計19港・45件であった。

 

3)障害の要因別の頻度

・強風のみによるもの

2港(御坊、苓北)、2件(4%)にすぎない。2港とも港外待機・荷役延期で対応している。

・高波浪と強風のみによるもの

 

 

 

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