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の境は明らかではなく、北東方へ流れるうちにしだいに合流し、その大半は津軽海峡から太平洋に流出して津軽暖流となり、一部は北海道西岸を北上してオホーツク海へ流入する宗谷暖流となりますが、更に残りはサハリン西岸沖まで達します。各分枝の流勢は、夏に強く、(1〜1.5ノット)冬に弱い(0.5〜1.2ノット)。

対馬暖流水は、対馬海峡流入後ほぼ300m以浅を流れ、その下には(300〜500m以深)に日本海固有水といわれる特異な海水が占めています。日本海中部では、沖合で対馬暖流とリマン寒流域から南下する冷水が接するため長大な極前線を形成します。対馬海流系の流れは、三つの分枝に分かれたり、その中に多くの渦が生じたり、変動が大きく、その影響を受ける沿岸の流れも非常に複雑な変動をします。

平成9年1月に隠岐諸島沖で発生したロシア籍タンカー「ナホトカ号」の海難・流出油災害事故で海上保安庁水路部が海流の流路把握のために投入したアルゴスブイの漂流経路図から見ても分かるように海流の流路は、複雑な様相を示しています。

日本海の南部と北部の水温差は冬季に大きく、夏季に小さい。沿岸の表面水温は8℃前後から27℃前後まで変化し、冬は平均10℃、夏は約26℃です。

各地とも2月が最低で8月が最高になっています。

潮汐による海面の昇降は、津軽と対馬の両海峡を除いては太平洋側に比べ一般に小さく、干満の差は、20〜40cm程度です。

 

*リマン海流

ロシア沿海州の沿岸沿いに南下する寒流。リマンとはロシア語で江湾の意で、アムール川(黒龍江)の出口の湾から来る海流を意味しています。

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*極前線

性質の異なる氷塊の間の境界面では、流速、水温、塩分等が急に変わりますが、このような面を前線と呼びます。また、前線が海面と接する部分を潮境・潮目と呼びます。このような潮境は通常、水色の変化や泡や海藻等の浮

 

 

 

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