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*大和堆(大和海嶺)

日本海のほぼ中央に位置する巨大な台地状の海底の高まりで、九州ほどの広さがあります。この高まりは、北東から南西に伸びる深さ2,000mの急峻な谷によって日本に近い南東側の「大和堆」とその北西側の「北大和雄」に分けられています。

大和海嶺が正式な名称ですが二つを合わせて大和堆と呼ぶこともあり、その名称は、旧日本海軍の測量艦「大和」により発見(1924年)されたのに因み名付けられました。

大和堆は、全体として深さ2,000〜3,000mの深海平原からそびえ立ち、最浅所の頂部は水面下236mです。また、水深500m以浅の面積は、約3,000km2もあり、その広さは佐渡島の約3.5倍にも達します。この海域は、大和堆にぶつかる海流が湧昇流を生み、栄養塩が豊富に供給されるのでプランクトンに富んだ日本海の好漁場となっています。

 

4. 気象・海象

(1)気象

日本海の海象に最も影響する気象は、冬季の北西季節風です。寒冷な北西季節風は、大陸から吹き出して来るときは非常に乾燥していますが、日本海上で海から水蒸気を補給され、日本に達するときは大量の水分を含み、脊梁山脈を越える際に、大量の雪を降らせます。特に日本海上に温帯低気圧が生じると暴風雪となります。これに対して、夏季は、台風の来襲時を除くと、一般に静穏な日が続きます。

春・秋季は移動性の温帯低気圧によって、継続時間の短い局地的な風が吹くことがあります。このため、日本海の高波は冬季に現れますが、特に北西季節風と低気圧とが複合した強風の連吹時には波高が8mにも達し、10m以上の波高が観測されたこともあります。このときの波の周期も長く、12秒近くになることがあります。しかし、夏季に静穏日数が多いこと、春・秋季に時たま沿岸部に高い波が現れますが、継続時間が短いことから、年間を通じての平均波高は0.6〜1mで、周期も7秒程度です。

 

(2)海象

日本海の海流の大勢は、シベリア大陸に沿って南下してくる寒流系のリマン海流と、対馬海峡を経て日本海に入り発達する暖流系の対馬海流で、世界最大の海流の一つである黒潮の約1/10の流量を持っています。対馬海峡の東水道を通過するものは、おおむね本州の北西岸に沿って岸近くを北上しています。西水道を通過するものは、通過後朝鮮半島東岸に沿って北上し、鬱陵島付近で二分して一部は東に向かい、蛇行しながら本州北西岸の沖合を北東方へ流れます。この分枝は、冬季には海流分枝としての性質を示さなくなります。一部は更に北上し北緯40°線付近まで達しますが、やがて東へ向かい、蛇行しながら入道埼付近で前記の二分枝と合流するようです。これらの分岐

 

 

 

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