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しかし人工衛星からの測定は、海面の状態を上空の飛翔体から測定するため、直接的には海表面の状態を示した情報のみしか得る事ができなく、その海洋内部の構造がどのようになっているかと言った情報を得るのは困難であった。海洋の鉛直構造をきちんと観測する事は重要であるが最近、海面の密度場から、海洋の内部の現象を評価する試みも行われている。ことに、Carnes and Mitchell(1990)によると過去の観測資料をEOF解析し、その振幅と力学高度の関係を回帰する事によって、力学高度と水温の鉛直構造との間には、良い関係があるものとしている。また日本では、諏訪・杉森(1989)によって、力学高度Anomary(△D)と200m深水温の間に密接な関係存在する事が示され、力学高度と水温鉛直プロファイルの間には関係があるとしている。

一方、表面水温と力学高度の間について戸田(1993)が船舶による力学高度計算とNOAA/AVHRRの表面水温データを用いて両者の間には海域によっては対応関係が見られることを述べている。そこで本研究は黒潮域で表面水温が内部構造をどの程度反映しているかを検討するため四国沖海域に緯、経度1°×1°の領域を設定し、過去50年間の船舶による水温データ(JODC提供)を用いて領域ごとに月ごとの平均水温を算出し偏差を求めた。その偏差を用いてEOF解析を行い、それにより得られる振幅と経験的直交関数を用いて鉛直水温構造を推測するアルゴリズム、及びプログラムを開発した。

 

 

 

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