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5 研究の内容

 

5.1 鉛直水温分布推測プログラム開発

 

5.1.1 はじめに

今日、全地球的(グローバル)な環境問題がクローズアップされてきている。その中でも、とりわけ地球の全表面積の約70%にも及ぶ海洋の環境が占める問題点は少なくない。海洋分野についての理解は気象の分野に比べ遅れていると言われている。これは、グローバルに詳細な構造や現象を同時に捕らえる事が難しく、困難であるからである。このような状況の中で、海洋現象を正確に、しかも海洋内部の構造などを捉えるためには、従来から行われている船舶による観測が唯一の方法である。これらの観測手法は技術的にも確立されており、観測精度や信頼精度も最も高いものである。

ところがこのような船舶によって海洋観測を直接行う方法では、広域的に分布する1つの現象に対して同時性のある観測資料を連続的に得る事は、不可能に近いものがあり、経済的にも非常に困難であった。この問題を解決するためには、解析する海域で多数の船舶を同時に用いて観測を行う方法が考えられるが、観測中の時間的変化による同時性の問題がなくなるわけでなく、また経済的にも不可能である。このほかにも、目的海域に固定点を数多く設置して、観測を行う方法が考えられる。これは、係留ブイシステムを用いた方法が一般的に広く行われているが、経済的、技術的に制限がある。

海洋の現象の広域的・同時的・連続的に計測する方法の一つとして、これらを宇宙から捉える試みがなされ、それらは、人工衛星を用いた各種の計測(リモートセンシング)として行われてきた。それらの解析技術や方法も、今日にいたるまで改善されており、観測精度も年々向上しつつある。なかでも人工衛星(気象衛星NOAA)からの赤外域画像は、海表面の水温水平分布を把握するために非常に有効である。(水野、秋山、1980 : 斎藤、1984 : 平井、1984)

 

 

 

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