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4 成果の要約

 

4.1 概要

 

本研究は、鉛直水温分布推測のための経験直交関数(EOF : Empirical Orthgonal Function)解析アルゴリズムの構築及びプログラム開発、広範囲な海表面水温分布表示のための人工衛星NOAA/AVHRR(Advanced Very High Resolution Radiometer : 改良型高分解能熱赤外放射計)データ画像の合成アルゴリズム構築及びプログラム開発とそれぞれの水温分布図作図プログラム開発を行い以下のような成果を得た。

 

4.2 成果

 

4.2.1 鉛直水温分布推定プログラムの開発

本年度は四国沖海域に緯度、経度(30°N〜33°N133°E〜136°E)1°×1°の領域を設定し、過去50年間の船舶による水温データ(JODC提供)を用いて領域ごとに月ごとの平均水温を算出し偏差を求めた。その偏差を用いてEOF解析を行い、それにより得られた振幅と経験的直交関数を用いて鉛直水温構造を検討した。そして、これらのアルゴリズム及びプログラムを開発し、表面水温から下層の推定水温を求めた。その際に第1モードのみを用いたが、寄与率(信頼度)約50%程度で実測値に近い値が得られた。また第1モードの振幅と各深度の偏差の間によい相関が得られた。この結果表層から下層が寄与率程度の信頼度で推測できる可能性が見い出された。

今後の問題として、第1モードの物理的背景がなにを表しているのか検討する必要がある。

 

4.2.2 広範囲海表面水温分布作図プログラム

今年度は、NOAA/AVHRR画像を用いて広範囲海面水温分布を求めるために欠測域の時間的補間アルゴリズムの構築を目的とした。この方法は、雲域を補間する画像に対して過去の時間の画像データで補間や近似を行うという方法で、単純なスプライン関数を用いて、欠測域時間的補間のアルゴリズム及びプログラムを開発し時間的補間を試みた。その結果、水温変化が激しい局地に対しても、補間に使用する画像の日付が近ければしっかり補間できることが判明した。そして条件が揃えば、少ない2シーンデータのみからでも、相関係数0.943程度の補間が得られた。

今後の問題としては、入力する画像の中には欠測域を含んでいる場合があり、補間する部分によって使用するシーン数が異なってしまう時がある。その時今回作成した手法を使用して良いか、経験を積む必要がある。また、補間した画像は衛星から観測されて得た値と、補間した値が混合されていて、どこが補間されているのか分からないので、区別する必要があるという問題もある。

 

 

 

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