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?東京都交通局自動車部車両課

課長 田中 順一郎

 

(司会)東京都交通局では、以前からリフト付きバスやワンステップバスなどの導入を積極的に進められておられますが、本国はその幅広い経験を踏まえた課題と展望を伺えればと思います。また、本日は展示スペースや交通整理、ポスター写真の撮影等、多くのご協力をいただきました。この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。

(田中)東京都交通局車両課長の田中でございます。よろしくお願いいたします。

東京都では昭和63年に福祉のまちづくり整備指針を定めまして、高齢者や障害者をはじめ、すべての都民が安全で快適に都市施設を利用し、自立的に都市生活を送ることができるまちづくりに取り組んでおります。この一環として、交通局ではだれもが安全で容易にバスを利用できるように、乗り降りしやすい車両の導入を進めてまいりました。平成2年度には床の高さが55センチという、従来のバスより30センチ低くし、車いすの乗降にはスロープ板を設けたスロープ付き超低床バスを導入いたしました。

翌3年度からは、このスロープに代えてリフトを取り付けたリフト付き超低床バスを導入いたしました。このバスはリフト装置や後ろの軸の加工ということで、従来のバスの価格の約2倍になりました。価格が上がった分につきましては、都などの補助をいただきながら導入を進めまして、現在までに56両のリフト付きバスを導入しております。現在、都バスは117の系統があります。このうち21の系統でリフト付きバスと最初に導入したスロープ付きの超低床バスを運行しております。

車いすのお客様の利用数は、スロープ板もリフトもなかった平成2年度は延べ約600人でした。平成8年度、昨年度の実績は約9100人と15倍に増えております。9100人の内訳は、6割の方がリフト付きバスまたはスロープ付きのバスを利用され、残り4割の方が一般の路線バスに乗車されています。平成6年度には乗り降りを楽にするため、乗降ステップを浅くして、大体165から170センチぐらいのステップですけれど、ツーステップにしまして、さらに停留所ではニーリングできる「らくらくステップバス」を開発・導入し、平成8年度からこれを標準車としております。こうした低床式バスは現在合わせて120両となり、交通局の全路線バスの6.5%に当たります。平成5年度に運輸省の指導のもとに人にやさしいバス技術調査検討会が設けらまして、新しいバス車両の導入が研究されました。平成8年度に国の先駆的事業としてノンステップバス導入の動きがあり、交通局もこれを受け、都の助成もいただき、今年の3月に試験的に2両のバスを導入し、新宿営業所の二つの路線で営業運行を始めました。一つは新宿駅と都庁を循環する1.9キロの路線。もう一つは新宿駅と東京女子医大を循環する6.4キロの路線です。ノンステップバスを導入するうえで、まず心配されたのは道路の走破性でしたが、この二つの路線では特に問題はありませんでした。

8月から1両を都内の各所で営業運行しておりますが、これはノンステップバスを広く都民の皆さんに知っていただこうというためです。いま1850両近い路線バスがありますけれども、こ

 

 

 

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