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のうちノンステップバスは2両ですので、とても都民の皆様全員に見ていただくわけにはいきません。そのうちの1両を回しておりますが、この試験走行で最徐行しないと通過が難しいと考えているところは、車庫の出入り口とか踏切、工事中の道路の凹凸、坂道で下り坂から上り坂に移るV字型の谷のようなところ、急坂の下のT字路、一部の橋などです。こういったところは最徐行が必要と考えております。一般の低床式バスでも注意しないと運転が難しいところは、ノンステップバスの普及に合わせて、道路の環境整備が必要と考えております。冬の積雪につきましては、これからの体験になりますが、東京においてはノンステップバスの普及を妨げる大きな要因にはならないと考えております。

乗務員がノンステップバスの運転に習熟しました7月に、お客様にアンケート調査をいたしました。428名の回答を得て、この結果85%に当たる365人の方がステップがなくなり乗り降りしやすくなったということで、ノンステップバスの普及・拡大を望んでおられます。

ノンステップバスの床は車軸や動力伝達装置などの関係で、後ろのほうが高くなっております。ここで傾斜をつけてみたり、段差をつけてみたりしております。お客様の大方は傾斜式、スロープのほうが段差式よりよいという評価をしています。

タイヤハウスの間の通路ですが、一般のバスでは約1メーターあります。ノンステップバスでは前方のほうが80センチ、後方が60センチとなりまして、後ろのほうですとタイヤハウスの間に2人立ちますと、さらに後ろに人が行くことができません。そこで人を遮ってしまいますので、ラッシュ時間帯には中扉の付近が非常に混雑します。それでもまずまずの評価を得ているのは、ノンステップバスが乗りやすくなったということと、中扉の従来ステップだった部分が平らな床となりましたので、この辺で広く感じるということだと思います。

定員や座席数ですが、タイヤハウスとか機器の関係で一般のバスに比べますと10人程度少なくなっています。お客様の中には車いすのスペースを最初から開けておいたらどうかという方もあり、こういう定員の状況ですし、高齢社会に向けてはできるだけ座席を確保したいという考え方もありますので、折り畳みの椅子にしておきたいと考えております。

座席の配列につきましては、全体に低い評価が得られております。理由は、タイヤハウスの上の、特にフロントの部分では非常に高い椅子がついておりますし、後ろのほうは後ろ向きの座席があるからだと思います。後ろ向き座席につきましては、60%以上のお客様が気になると答えています。

中扉は検討会の中ではグライドスライド式となっておりますが、ラッシュ対策といたしまして交通局では1両を電車のような引き戸式にして試してみました。お客様の反応といたしましては引き戸式のほうがよいという意見もありますが、グライドスライドにつきましてもまあまあの評価を得ております。交通局といたしましては当面両方を検討していきたいと考えております。

同じ時期に乗務員にもアンケート調査をいたしました。運転操作性につきましては、道路の凹凸に一般のバスに比べると注意して運転していると答えております。

また、ノンステップバスはステップがなくなり、有効で20センチぐらい前の入り口の幅が広くなっています。この結果につきましては、約8割の乗務員がお客様の乗車時間が一般のバスに比べて早くなったと評価しておりまして、実測の調査でも乗車時間の短縮が確認されております。

 

 

 

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