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(鎌田・東京大学 後日補足)ご質問の車いすの乗せ方、固定法というのは、ノンステップバスの普及が進んでいる欧州でも大きな課題でありまして、その議論が出発点となってEUでのプロジェクトCOST322が組まれたと聞いております。

障害者の移送サービスが充実している欧州と日本とではバスにどのような車いす対応性をもたせるかについての考え方はだいぶ違うようですし、安全性に対する社会の意識も異なります。リフト付きバスという特別な車で対応するのと、ノンステップバスの形で普及していく際の固定法の考え方が同じでいいのかという指摘もあります。コストが高くメンテナンスにもお金のかかる電動スロープよりも、手動で安い方がよいという意見も聞きます。この辺の話は、ある程度のガイドラインを国が音頭をとってまとめるべきだと思います。

すぐにはそういう動きが期待できないようなので、日本リハビリテーション工学協会の自動車SIGにおいてとりあえず現状認識をしておこうということで、今年度アンケート調査を計画しております。

(運輸省 当日行政側から技術関係者が出席しておらず、回答できなかったことによる本報告書での補足説明)車いすの乗せ方、固定方法に関する技術的な現状及び課題は、鎌田先生のお話のとおりであると思います。

一方、車いすを使用している方々からの「車いすを固定することは身体を縛るものであり、人権侵害である」とのご指摘について補足しておきますと、ノンステップバスが普及段階である現状では、ノンステップバス走行中に生ずるトラブルの予測が立たないため、車いす使用者及びその他の乗客の安全を考慮して、技術的及び乗客の心構え等の安全対策が確立されるまで車いすの固定についてご理解を頂きたいと思っています。

 

 

 

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