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バーサルデザインになります。つまり車いす使用者も利用でき、私も利用でき、ほかの人も利用できる。こういった誰にでも利用できることをユニバーサルデザインと呼んでいます。

もう少し細かく申し上げますと、障害者のために特別にデザインをする手法があります。過去のデザインの手法はそういうものでした。リフト付きバスがそうです。あるいは道路の段差切り下げだけをするのもそうです。障害を持つ人だけではなく、ほかの人も使えるように考えましょうというのがユニバーサルデザインです。それは障害者の特別な対策をできるだけ小さくするプロセスです。

それと同時に、ユニバーサルデザインというのはこうだという形ではなく、一つのプロセスです。次々に進化して、最初は8割の人しか使えなかったものが次は9割、次は10割というふうに徐々に変わっていくプロセスの問題でもあります。

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アメリカのアダクテイブエンバイロンメンツセンターで提唱されているユニバーサルデザインの七つのコンセプト(表-1)があります。公平とか自由とかいろいろな要素があります。こういう要素を満たす必要があるということです。

かつてアメリカではアクセスブルという言葉が使われていました。アクセスブルなビルというと、必ず車いす用のトイレがついていて、車いすのためにスロープやエレベーターがついていた。これをアクセスブルと呼んでいたわけです。本来はもっと広い意味だったのですが、限定されて使われていました。アメリカはそれを反省し、多様な人にも使える、もっと広範な概念としてユニバーサルデザインを位置づけたわけです。

その一つ目として、バス停や鉄道駅から近づきやすい建物であるということです。例えばゆりかもめから駅に下りて、ここまでの位置がちゃんとわかるようにインフォメーションをきちっとする。かつエレベーターやエスカレーターがちゃんと整備されている。そういったことです。二つ目が正面玄関をわかりやすくする。今日は看板を立てたりして、ここの案内をいろいろ工夫していますけれど、ここまでのアクセスがわりとわかりにくいという意味では、ユニバーサルデザインとしてはまだ十分ではないと思えます。三つ目がビル内の配置図がきちんとあること。こういったことが交通で考えるべきことです、とユニバーサルデザインの提唱者の方々はおっしゃっています。

かつて障害を持つ人はたった3%ということで、アメリカなどではネグリジブルスモール(極めて少ない、無視してもいい少数)という見方がされていましたが、ユニバーサルデザインはそういうことではなく、もっと広範にとらえるという意味があります。

私は交通弱者という言葉を使わず、移動制約者という言葉で通しています。なぜなら、人が

 

 

 

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