基調講演2
環境にやさしい観光へ
前田武彦氏
神戸国際大学経済学部助教授
大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。米国フィリップス大学日本校教員、県立高知女子大学保育短期大学部専任講師・助教授を経て、1995年より、神戸国際大学経済学部都市文化経済学科助教授。この間、国立民族学博物館共同研究員、外来研究員を経て、現在、研究協力者。
主著:『社会を視る12の窓』(共著)『地球環境問題を考える』(共著)
「環境にやさしい観光へ」というテーマで、お話しさせていただきます。
今日私たちが使っている観光という言葉は、ふつう「近代観光」を指しています。近代観光といいますのは、19世紀の中ごろ、イギリスを中心としたヨーロッパで始まりました。近代観光が成立する前までは、観光の中心はお金持ちや貴族など、社会の一部のかぎられた人たちだけが行なうことができたエリート観光というべきものでした。これに対して近代観光は、大衆による観光――庶民でも基本的にお金さえ出せばだれにでもできる観光旅行、すなわちマス・ツーリズムをいいます。