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第2部 事 例 発 表

 

「低公害車の技術開発について」

トヨタ自動車株式会社 設計管理部主査 棚沢 正澄

 

トヨタ自動車の棚沢でございます。 技術開発の中身を若干話をしろということでございますのでお話をいたしますけれども、 自動車が関わる環境問題というのは大変広うございまして、 見ていただいたとおり、 つくるときもクリーンじゃなきゃいけない、 それから使っているときもクリーンじゃなきゃいけない、 それからあと日産の樋口さんがお話をされますけれども、 使ったあともきれいじゃなきゃいけないということでございますので、 この輪廻のようなサイクルをどれもクリーンにしたいということでやっております。 それで、 きょうの特に、 いま林先生もお話しされましたようなCO2問題、 車は便利ですけれども、使うときにエネルギー源を使い、 テールパイプからあんまりきれいじゃないものが出るということでございますので、 ここのところをひとつサンプルとして、 皆さんにどんなことをやっているのかという骨のところだけをお話ししたいと思います。

私は自動車屋として、 こんな図はかきたくないんですけれども、 現実に目を覆うわけにはいかないものですから、 あえてかきました。 車がテールパイプから若干大気汚染的なものを出すと、 いままでの環境問題というのはどちらかというと、 もう30年来われわれ悩んできておりますけれども、 テールパイプのガスで都市が汚れてしまうんではないかというようなことでございます。 この中に幾つかの、 濃くなりますと健康にあんまりうれしくない物質が入っているということでございますので、 これを落とす形でいろいろやってきました。 だいぶいろんなことが技術開発をやりましてきれいになってきているんですけれども、残っておりますのが 「ディーゼルエンジンの窒素酸化物」 というもの、 それからディーゼルエンジンの後ろから煙のようなものが出るんですが、 これが炭素の粒でございますので粒子状物質と書いてございます。 これがディーゼルエンジン独特でございますが、 これと窒素酸化物 (NOX)、 ここいらがいまもう少しひとふんばりしないといけないものですから、 今年、 来年を山場にしてクリーンなディーゼルエンジンという、 あるいはクリーンなディーゼル車を開発するというのが、 このジャンルでの一番のいまの課題でございます。

ところが、 それにかかる形で、 これはもうディーゼルと言わず、 ガソリンと言わずですが、いまの地球環境問題のもとになるCO2というのが出る。 テールパイプからこういうわりあいローカルな汚染のものとグローバルな、 汚染といいますか、 これ自体は無害なんですけれども、 温暖化するということでございますから、 まあ有害と言えるとも思います。 こういう2つのものが出るということでございますので、 これを自動車としてはエンジンの方で両方退治しなければいけないということであります。 わざわざ分けて書いたのは、 大体技術的な問題、 あるいは俗に言う工学的な問題というのは、 大体物事が矛盾するもの

 

 

 

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