日本財団 図書館


〈基調講演〉

運輸と地球温暖化対策について

009-1.gif

長岡技術科学大学教授 松本昌二先生

皆さん、こんにちわ。只今ご紹介いただきました長岡技術科学大学の松本と申します。

私に与えられた演題が「運輸と地球温暖化」という非常に広範囲なもので、時間も30分ということですのでごく概略しかお話しできないと思います。まず最初に私がお話ししたいことというのは、皆さんのお手元に配られていると思います、運輸省からの「21世紀に向けた環境・エネルギーと運輸」というものの中におおよそは書かれてあるかと思います。それに幾分私なりのアレンジをしてみたつもりですが、結論からごく簡単に申し上げますと、この地球温暖化ということが既にこの地球上で始まっているということです。その主要な原因である炭酸ガス(CO2)の排出を削減・抑制するために、自動車の低公害化であるとか、いわゆるクリーンエネルギー化、あるいは車の利用の仕方等を見直さなければいけないというようなことを、もう少し詳しくこの30分の中でお話ししたいと思っております。

私はどちらかというと運輸・交通の方の専門家でして必ずしも地球温暖化ということを研究対象にはしておりませんので、そんなに歯切れよく説明はできないかと思うのですが、その辺はご容赦願いたいと思います。できるだけ分かり易くしたいと思いましたのでOHPを用意いたしました。

皆さん方、地球温暖化あるいは温室効果ということを言葉としてはご存知だろうと思いますが、この地球の周りというのは我々が毎日吸っております空気、つまり窒素と酸素を主成分とする大気で覆われています。地球は、もしこの大気というものが無かったとするとマイナス18℃という、人間の生活ができないような寒い、極寒の星であるということが理論的に言われております。しかし平均値でプラス15℃くらいの生活環境が保たれているというのは、地球の周りにある大気中に水蒸気、あるいは炭酸ガスといういわゆる温室効果ガスというものがあるからなのです。

太陽からの直接の日射が殆ど吸収されないで地球に到達して地球が温まりますと、日射よりも波長の長い赤外線というものが地表面から放射して行きます。この赤外線を水蒸気とか炭酸ガスなどが吸収します。赤外線の一部を水蒸気や炭酸ガスが吸収するために、我々の地球環境が15℃くらいに保たれているということになります。自然界に存在する水蒸気や炭酸ガスによって生活環境が15℃くらいに保たれる、丁度温室と同じようだということで、それを温室効果と言い、そしてそれらのガス、つまり水蒸気、炭酸ガス、あるいはメタン、フロンというものを温室効果ガスと呼んでいる訳です。

水蒸気や自然に存在する炭酸ガスによって、自然界はそんなに温度が上昇するということはなかった訳ですが、産業革命以後に人間活動が急速に活発になると、その温室効果ガス、つまり炭酸ガスの濃度が上昇してきました。いま温室効果ガスと言いますと炭酸ガスが主であると言われていますが、これは、産業革命以後温室効果に寄与したのは、炭酸ガスが64%であるということを表しています。二酸化炭素以外にメタン、亜鉛化窒素、フロンなどその他の温室効果ガスというものもある

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION