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APTECセミナー

 

シルクロード各国政府代表が見守る中、APTECの山下理事長が自らモデレーターをつとめ、APTECの「シルクロード観光交流促進調査事業」に基づくセミナーがおこなわれた。

 

APTECによるシルクロード調査報告と提言

講演者 新井佼一 (財)国際観光開発研究センター専務理事

前半に過去3回の中国国内シルクロード調査の足跡を、西安から河西回廊を経て新疆ウイグル自治区の天山南路をとおりカシュガル、パミール高原のカラクリ湖へ至る間の歴史文化資源、景観、バザールなどの人々の生活、その土地特有の料理や土産物や余興、砂漠の草花などをカラースライドの映写と説明により紹介した。続いて、「1O年前のシルクロード」、「今回調査時の状況」、「今後改善されるべき事項」にふれて、調査の総括と提言を行った。

 

パネル討論会「APTECの調査報告をふまえて」

冒頭に専門分野の異なる4名のパネリストによるプレゼンテーションがあった。

 

「シルクロードから学ぶこと、その歴史的資源の保全と活用」

講演者 樋口隆康 シルクロード学研究センター所長、京都大学名誉教授

シルクロードを通じた東西の文化的交流を、シリアのパルミラ遺跡から出土した中国の絹織物、西から中国に伝わり独特に描かれた葡萄唐草模様、日本古代の黒塚古墳から出土(1997年10月末)した三角縁神獣鏡に象と二こぶラクダ(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠に棲息)の模様があること、イスタンブールの東洋陶磁器館(トプカプ宮殿内)にある鏡の動物模様が正倉院にある鏡の動物模様と酷似しているなどの事例を示して具体的に説明した。東西の文化を伝播したシルクロードを実際に見て回り、歴史に思いを馳せ素晴らしい観光資源に触れることはその人の人格形成などに役立つ。観光資源である遺跡の保存に充分に配慮して、観光資源として活用が重要であることを強調した。

 

「日本の旅行会社がシルクロード旅行を促進するには・現地情報の重要さ」

講演者 石川瀬英 (株)JTBワールド西日本代表取締役専務

「何に魅力を感じて旅行をするか」、「マスメディア媒体を通じた一般大衆へのデスティネーション情報・イメージ提供の必要性とその実現への政府観光局と旅行関係者の努力の必要性」、「シルクロードヘの旅行者にいかに正確な現地情報を提供するか」、「現地サイドから日本の旅行会社への最新かつ質の高い情報提供の必要性」について説明をし、現地情報の提供とその体制が整えば中高年層のみならず若年層も多くシルクロードヘ出掛けるようになり、シルクロード旅行の促進に貢献することを強調した。

 

「日本−新疆地区直行便運航の可能性」

講演者 千島良樹 日本航空(株)大阪支店副支店長兼総務部長

新疆ウイグル自治区を訪問する日本人旅行者の大半は、空路を利用して北京、上海より入国し国内線を乗り継いでウルムチ空港などの主要空港へ入る現状に於いて、旅行需要喚起の観点から、日本−新疆地区直行便運航の可能性を検証した。「日本発需要の喚起と中国側の受入れ

 

 

 

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