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に、古い歴史と伝統に培われ、地理的にも一体的な生活圏が形成されています。

昭和46年4月発足の当組合の消防体制は1本部・1署・3支署・4分署、職員139人で管内の災害に対応している。

それでは、人口に対し広大な面積を有する当本部の予防・広報活動について紹介する。

1 防火広報巡回

当本部では、管内の特徴の1つである広い面積に点在する集落という地域性を考え、住民に密着した広報の1つとして、毎日午後7時に各所属一斉に防火広報の巡回を行い、密集地・集落を問わず、火の元の点検を呼びかけ、火災予防を訴えている。

この広報活動は既に15年以上になるが、その間、家族が在宅しているにもかかわらず、その住宅の2階から煙が出ているのを発見し、家族に知らせるとともに消火活動を実施し、その居室の一部の焼損ですませた例もある。

出動から現場到着までに時間を要する集落が多い当管内では、これからも「火災を出さない地域づくり」をスローガンに″草の根″広報を続けている。

2 一人暮らし老人宅の火災予防

災害弱者への早期災害対応の1つとして、当本部では管内750世帯の一人暮らしの老人名に、緊急通報システムを設置し、火災感知器・ガス漏れセンサー・電話機本体及びペンダント式非常ボタンにより、直接消防本部に通報されるシステムをとっている。

また、この設備の設置とともに、各市町村の保健婦・ホームヘルパー合同による家庭訪問及び防火懇談・健康相談を平行して行い、火災・急病時の対応について指導し、親しまれる「消防」になれるよう努力している。

3 防火ポスター展の開催

火災予防思想の底辺拡大を目的に、管内にある48校の小学校4年生を対象に防火ポスターコンクールを開催し、入選作品はデパート等に展示することにより、広く火災予防を訴えている。また、このコンクールには地元教育委員会他、各種団体の協賛も得て賞状・記念品も贈られている。

4 消防署の体験学習

住民への消防業務の理解を得る1つとして、中学生による消防署体験学習を夏休み期間中に実施している。夜間勤務はないが1日・2日・3日と各コースを設け、消火・救急・救助の訓練を中心に我々職員と一緒に業務を行うことにより、消防の理解を社会に訴えている。

参加する生徒には、消防の規律も社会でのルールも同じであることを訴えて、人間形成にも役立つような体験学習になるよう、全職員張り切ってこれにあたり努力している。

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おわりに

当地方は、過疎化と核家族化により高齢者世帯が急増している現状と、豪雪地帯でもあることから、火災原因のトップである暖房器具及びガスコンロの使用頻度の高い冬季間に、ガス会社と電力会社と合同で、各地区に出向して防火座談会を数多く開催するようにしている。これからも紹介した4つの活動例を土台にし、幅広い防火広報を職員一丸となって繰り広げ、安全で住み良い地域づくりに取り組んでいきたいと考えている。

(星川 正彦)

 

 

 

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