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ワンポイント

消防職員のための法令用語解説

 

借地借家法(1)

 

1 借地借家法の公布、施行

 

「借地借家法」は、平成3年10月4日に公布され、平成4年8月1日から施行されている。

その法律は、従前の「借地法」と「借家法」を改正したものである。

 

2 制定の目的

 

借地借家法制定の目的は、従前の「借地法」や「借家法」の借地借家人の権利を保障することにより、土地建物の利用関係を安定させるという基本的考え方は維持させながら、「借地法」「借家法」を、現代の社会経済的状況の変化に対応させるというものである。

 

3 借地権に関する借地借家法の主な内容

 

?@借地権の存続期間

借地権の存続期間については、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする(借地借家法、以下「法」という。3条)。

「借地法」では、堅固な建物所有を目的とする借地権と、非堅固な建物所有を目的とする借地権で、借地権の存続期間について差を設けていたが、その区別は、なくしたものである。

?A期間終了後の更新

借地期間終了後の更新について、法は、1回目の更新後の期間20年、2回目以後の更新後の期間は10年としている(法4条)。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。1回目の更新と2回目以後の更新について、更新後の借地期間について差を設けたのが、法の特色である。

?B更新拒絶の「正当事由」

更新拒絶の「正当事由」としては、「当事者が土地建物の使用を必要とする事情」を中心として判断することになる。そして、補完的に「従前の経過」「土地建物の利用状況と「立退料」が考慮される。(法6条)。

 

4 定期借地権制度の導入

 

法は、定期借地権制度を導入した。これは、一定の期間がくると、借地権が期間満了で消滅し更新がないものである。これには、

?@存続期間を50年以上とする定期借地権(法22条)。

?A専ら事業の目的に供する建物の所有を目的とする存続期間10年以上20年以下の事業用借地権(法24条)。

?B30年以上の存続期間を定め、満了後に土地上の建物を地主に相当な対価で譲渡する建物譲渡特約付借地権(法23条)。

 

5 既存の借地借家と新しい法との関係

 

「借地法」「借家法」のもとで生じた効力は、そのまま維持される(法附則4条担但書)。

例えば、借地法に基づいてした木造建物の所有を目的とする存続期間20年の借地権はそのまま効力を維持する。

従前の借地契約の更新については、特に法で規定し、「この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による」ことになっている(法附則6条)。

全消会顧問弁護士 木下 健治

 

 

 

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