日本財団 図書館


ワンポイント

消防職員のための法令用語解説

 

不利益処分(3)

 

8 聴聞を経てされる不利益処分の決定

行政庁は、不利益処分の決定をするときは、聴聞の主宰者が作成した聴聞の審理の経過を記載した調書の内容と、聴聞主宰者の報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してしなければならないことになっている(行政手続法26条)。

 

9 不服申立ての制限

行政庁又は聴聞手続の主宰者が、聴聞に関する規定(行政手続法第3章第2節)に基づいてした処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない(行政手続法27条1項)。

これらの処分は、聴聞手続上の処分なので、いちいち行政不服審査法の規定による不服申立ての対象とならないものとしたものである。もし、不服のある場合は、聴聞を経てなされた行政処分について、それを争い、その訴訟の中で、聴聞手続に違法があったことを主張すればよい。

また、聴聞を経てされた不利益処分については、当事者及び参加人は、原則として行政不服審査法による異議申立てをすることができない(行政手続法27条2項本文)。

行政処分前の事前手続で十分審理しているので、行政処分についての異議申立てを認めないものである。

この場合、処分に不明があるときは、審査請求ができなければ、いきなり処分取消訴訟を起すことになろう。

 

10 役員等の解任等を命ずる不利益処分をしようとする場合の聴聞等の特例

名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる処分、名あて人の会員である者の除名を命ずる処分の聴聞において、名あて人に聴聞期日等の通知がなされたときは、名あて人である法人の役員、名あて人の業務に従事する者、名あて人の会員である者(当該処分において解任し又は除名すべきこととされている者)は、聴聞の規定の通知を受けた者とみなされる(行政手続法28条1項)。

 

11 弁明の機会の付与

弁明の機会の付与の方式は、原則として書面主義である。即ち、弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を掲出してする(行政手続法29条1項)。そして、弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる(同条二項)。

弁明の機会の付与の通知の方式は、行政庁は、弁明書の提出期限までに、相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき人に対し、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項、不利益処分の原因となる事実、弁明書の提出先及び提出期限を、書面により通知しなければならない(同法30条)。

弁明の機会の付与の手続に関しては、聴聞に関する手続中の、名あて人不在の場合の規定(同法15条)、代理人の規定(同法16条)が、準用される。

全消会顧問弁護士 木下 健治

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION