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◇吉田町榛原町広域施設組合消防本部◇ (静岡)

 

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当本部は、吉田町・榛原町の2町から成る広域施設組合で、静岡県のほぼ中央を貫流する清流「大井川」下流の右岸に位置し、南は駿河湾に面している。また、北部は品質と生産量で全国第1位を誇るお茶の生産で有名な牧之原台地を形成するなど豊かな自然環境に恵まれている。

吉田町は、古くから大井川の伏流水に恵まれ「うなぎ」の養殖が盛んで、シラスの水揚げも多く、野菜の生産と合わせ町の基幹産業となっている。一方、榛原町はお茶のほか温暖な気候を活かして、みかん、レタス等の栽培が盛んで町の特産物となっており、夏の海水浴シーズンには静波海岸をはじめ3つの海水浴場に100万人以上の海水浴客が訪れる観光地である。

管内は、企業の誘致や宅地開発が進み、市街地や住宅密集地が形成され、年々人口も増加している。

消防本部は、昭和44年2月の東名高速道路の開通(吉田IC開設)と同時に救急業務を開始、現在は、1本部・1署、50人の職員と10分団、527人の消防団員(吉田町=4分団・198人、榛原町=6分団・329人)が人口52,000人の安全を守っている。

 

★救急業務の高度化をめざして

昨年、構成町等の理解により1名の救急救命士が誕生し、平成9年度中に高規格救急自動車を導入する予定である。これに伴い榛原総合病院の受入れ体制の整備や同病院での救急隊員の研修等についても円滑に事務が進められており、救急業務の高度化に向けて着実に前進している。

また、救命効果の向上を図るため、応急手当普及啓発活動も積極的に推進している。

 

★消防団との連携!

吉田町・榛原町両消防団は歴史と伝統を有し、県消防協会主催のポンプ操法、訓練礼式査閲大会で幾度となく優秀な成績を修め、全国大会にも出場している。また、各種災害においても当本部と連携のもと、積極果敢な活動により住民からも高い信任を受けている。

 

★手作りの広報活動

当本部では、消防広報誌を発行し、地域住民への情報提供及びコミュニケーション媒体として活用している。また、庁舎玄関先等に大型提灯、行灯、大凧、大型消火器等、職員手作りの作品を配し、火災予防運動時には、職員が約1箇月を要してミニマスコット(地元の住吉凧、防火絵馬等)を作成し、管内の幼稚園、小学校等に配布して火災予防広報に役立てており、平成8年度は秋に消防自動車等のマスコットを750個作成し、住民から好評を得ている。(写真)

 

★地震に備えて

当地域は、東海地震に係る地震防災対策強化地域に指定されており、管内には、町会単位に74の自主防災組織が結成されている。

当本部では、住民の防災行動力の向上を図るため、各種訓練指導のほか町部局と連携して防災専門指導員の育成や救助班の編成についても検討中であり、地震対策事業としてコミュニティー防災センター、防災倉庫、耐震性防火水槽等の整備を推進している。

 

★地域住民との信頼を!

大石消防長は、″協調性と機敏な行動力を養い、地域住民に親しまれる職員の育成″をめざしており、私の仕事は「職員が明るく・楽しく働くことのできる職場環境を提供するこ」こと語られた。

手作りのマスコットを、子供達の喜ぶ顔を想像しながら作る心やさしい職員がいる限り、住民との「信頼』はさらに深まり、大石消防長のめざす「地域住民に親しまれる消防」は、確かなものになっていると確信した。

(丸山 英年)

 

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