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運動失調や知覚異常,下肢などに激しい痛みを起こすこともあります。それから心臓血管系の病変で,大動脈炎を起こしてさらに大動脈瘤を起こすこともあります。もしAIDSウイルスにも感染していると梅毒の進行は早くなります。

先天性梅毒もあります。母親が妊娠中に梅毒に感染していて妊娠4カ月以降に胎盤ができた後に胎児に感染を起こします。そして先天性梅毒という状態で児が生まれてくる場合です。感染した児は骨や皮膚,眼,歯,心臓などに病変を起こしていることがあります。

診断は,血清学的反応でVDRL(またはRPR)とTPHAの両方を見ます。これが両方とも陽性の場合に初めて梅毒感染があったと診断されます。VDRL(RPR)だけが陽性となるのは全身性エリテマトーデスや,慢性関節リウマチなどの膠原病やその他の病気でもあり得ます。

VDRLが陽性の場合は必ずTPHAまたはFTA-ABS法の検査を行って両方陽性であった場合に,梅毒の感染があったといえます。さらに抗体価を調べて,未治療で,VDRLの抗体価が高ければ梅毒は活動性と考えられます。すでに治療がなされていればVDRLの抗体価は低値となります。VDRL抗体価は治療効果の指標になります。またTPHAの抗体価は治療後でも陰性とならずに大部分は陽性値が持続します。

治療はペニシリン系が第1選択薬です。第2選択薬としてはテトラサイクリン系などがあります。

 

2.淋病

淋病は淋菌によって発症します。男性から女性に感染する率は50〜80%,女性から男性へは20〜30%といわれています。感染部位は男性ではペニスの尿道,女性では膣などです。それらの部位に炎症を起こして,男性の場合は尿道から膿性分泌液が出たり痛みを伴います。このような

 

 

 

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