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抗菌剤を使ったほうが症状の短縮効果があることが認められております。大腸菌O-157の場合に大切なことは,?腸ぜん動を抑える薬は使わないこと,それから,?下痢発症後少なくとも2週間は血算,生化学,検尿等を含めてフォローする,?患者,家族に十分手洗いを励行してもらうこと,?患者が調理士や保母の場合などは,症状が治まって便の培養が2回続けて陰性であることを十分確認するまで調理や子供たちの世話は控えたほうが望ましい。それから家族や周囲の人の調査も時に必要になります。

感染防止には,とくに肉類の扱いを注意します。牛の挽き肉などを調理するときは十分な加熱をすることと,また板とか包丁なども使ったあとはよく洗って,ときには加熱したりすること。この菌は68℃以上15秒間処理することによって殺菌されます。

患者さんのケアにおいては,患者さんの便や,便で汚染されたものに触れる場合は手袋を用いてケアしたほうがよいと思います。そしてケアの後は流水,石鹸でよく手洗いすること。患者さんにもよく手洗いしてもらうことです。当院でもこの菌による2人の成人の入院患者がありましたがとくに問題なく2人とも治癒していますし,その後,二次的感染例は院内では見られませんでした。

 

7.患者への指導

腸炎の患者さんに対する一般的な対処法を患者および家族に指導する場合ですが,下痢症状の強い人は十分に水分と電解質,塩分,カリウムなどが含まれたものをとってもらうように勧めることが大切です。そのためには,たとえばお茶,お粥,おもゆ,野菜スープに塩を入れたものや,梅干しがたいへん有効です。細かくよく刻んだものをとってもらう。このようなものが食べられれば,次は味噌汁やうどんなどもいいわけで

 

 

 

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