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でも治りがいい菌で,自然に1日か2日で治ることが多いです。

 

6)セレウス菌

これは環境の中によくいる菌で,これも毒素型食中毒を起こします。調理したあとの食事を長く放置しておくことによって,その菌が入り込んで毒素を出す。そしてその毒素がたまった状態になると,それを食べた時に発病することがあります。ですから早めに冷却保存するか,十分加熱することが必要です。

 

7)ボツリヌス菌

発症例はまれですが,発症するとかなり重い症状を起こします。この菌は土の中や農産物,動物,海産魚の腸の中などに見いだされることがあります。ハチミツなどに汚染された例があります。自家製缶詰,スモークサーモンなどが汚染されて起こった例とか,あるいは東北地方の飯鮨とか魚を使って発酵させてつくった御飯プラス魚の料理を介して感染した例,あるいは熊本のからしレンコンから感染した例があります。いまはマス鮨やからしレンコンなどは,調理にあたってはこれを予防するような処置をしているので,安全になっていると思います。

しかし,先日,輸入のオイスターソースがボツリヌス菌で汚染されて発症した例がありましたが,幸いなことに大事には至らなかったようです。発症すると起こる症状は,複視,すなわちものが二重に見える,視力障害,口腔内乾燥,嚥下障害(飲み込みが悪い),構語障害など脳神経麻痺の症状が出現します。そして麻痺が徐々に下のほうに進行し,上肢下肢の筋力低下が生じることもあります。それから乳児に起こることがあります。乳児の場合は1歳未満ではハチミツを食べさせないということが原則的です

 

 

 

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